回復効果という点で最強の短眠

正しい短眠を実践すると、眠りに就いた直後から急激に眠りが深まり、「深いノンレム睡眠」が長い時間続きます。

深いノンレム睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、疲労回復に効果があります。

短眠は睡眠時間の多くを深いノンレム睡眠にする戦略であり、言い方を変えると「回復効果に全振りした睡眠法」ともいえます。

短眠がもたらす「長い活動時間」と「激しい働き方」で疲れ果てた肉体を、最も効率的に回復させてくれるのも、やはり短眠なのです。とにかく短眠は「回復する」という点では最強なので、その日の疲れを翌日以降に繰り越すことがありません。

睡眠不足が蓄積して心身に影響をきたす「睡眠負債」が起きにくいことが、週末も無理なく短眠を続けられるという結果につながるのです。

短眠を続けると、アドレナリン、ドーパミンという2つの脳内物質が増大するという研究結果があります。

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アドレナリンは、「闘争と逃走のホルモン」と呼ばれます。生き物が生命の危機に瀕したときに分泌され、脳を興奮させたり、筋肉に大量の血液を供給して素早く動けるようにしたり、痛みや疲れを感じにくくしたりする働きがあります。

短眠でアドレナリンの分泌を増やすことで、生命の危機に瀕したときと同様、心身が爆発的な力を発揮します。意図して「火事場の馬鹿力」のような状態を作り出し、普段の自分では考えられないほどのパワーで働くことができます。

成功者の多くが勝負時に短眠を選んでいた

また、ドーパミンは、「やる気」や「意欲」に大きく関わる神経伝達物質です。集中力を増すことや、ポジティブな思考になることも知られています。

ドーパミンが増えると、困難な仕事にも敢然と立ち向かえるようになります。

「自分には難しいんじゃないか」と尻込みしたり、「あの見込み客は無理そうだなぁ」と気後れしたり、そんなネガティブな感情はふっとび、ポジティブ思考でぐいぐいと前進できる強いメンタルが手に入ります。

「あいつには負けたくない」といった強い気持ちから仕事への集中力も増大し、脇目も振らず黙々と課題を処理し続けることができるようになります。

先述したとおり、成功した経営者の多くが、勝負の時期に短眠をとっていたことがわかっています。人生の中でどうしても結果を出さなければならないとき、最大限の努力をしなければならないときには、取り入れてもいいのではないでしょうか。