エラーを気付かせる「電子アシスタント」
人を介さないことでヒューマンエラーが低減できるが、最初の入力の段階でエラーが生じてしまう可能性は残っている。そのため、入力に間違いがないかをチェックし、間違っていれば気づかせるしくみが必要となる。
電子アシスタントの場合、エラーをチェックするというのは、機械的なチェックであれば簡単にできる。たとえばメールアドレスを入力する場合、ドメイン名の前に「@」がつくことになるため、「@」が含まれていなければメールアドレスとして認識されず、間違いであると指摘できる。
郵便番号、電話番号などもある程度はチェックできる。桁数が多いとか少ないとか、数字以外のものが含まれていると明らかに間違いだとわかる。その間違いをどのように指摘するかも重要である。
ユーザビリティ(使いやすさ)の第一人者と言われるニールセンは、10の原則を提案しており、この中でエラーに関することにも触れているのが「エラーメッセージを具体的に」というものである。
ネットでなんらかの手続きをする際、入力ミスが生じた場合、「正しく入力されていません」といったエラーメッセージが示されることがある。どの項目がどのように間違っているのか具体的に指摘をしてもらわないと外的手がかりとしては有用性が低い。
「IDかパスワードが間違っています」のもどかしさ
よくあるのが、ログイン時の「IDかパスワードが間違っています」というメッセージである。セキュリティ上の問題でどちらが間違っているかを明示的に示せないのであろうが、ユーザからすると、IDが間違っているのか、あるいは、IDは存在しているがパスワードが違うのかを知りたいはずである。
また、パスワードを設定する場合、パスワードの文字列には、いくつかの条件が決められている。8文字以上、大文字と小文字、数字を含める、記号を含めるといったことである。
ユーザが入力したパスワードの文字列がこれらの条件を満たしていない場合、警告を出すことになる。その際、ただ「パスワードが適切ではありません」といったメッセージではなく、「大文字が含まれていません」や「8文字以上ではありません」というふうに具体的に何が問題なのかを教えてあげる必要がある。
家電製品などでエラーを記号だけで示したり、音のパターンで示したりしただけではどんな間違いなのかわからない。電子アシスタントであれば、具体的に何が間違っているのかを的確に示すように設計することが可能なはずである。