画像提供=AERA dot.編集部
韓国の大手スーパー「イーマート」で5月上旬、2年ぶりに「角瓶」が店頭に並んだ

日本産ウイスキーとハイボールの人気を受け、韓国の酒類メーカーもこの流れを取り込もうと、新たな商品を発売している。大手の「ハイト真露」は2月、日本産プレミアムウイスキー「富士山麓シグネチャーブレンド」を発売した。値段は日本での販売価格より約3倍高い13万ウォン(約1万5千円)だが、前出のスーパー「イーマート」のスタッフに聞いたところ、常に在庫が不足し、毎日注文しているほどだという。

コンビニ「CU」は4月、「生レモン」というハイボール缶を発売した。ふたはアサヒスーパードライのデザインに似せている。日本のハイボールを参考にした味で、最近人気が急上昇しているという。CUで扱う商品のなかで売り上げは2位といい、在庫不足で品薄現象が生じたこともある。

昨年の日本への韓国人旅行者は約700万人!

こうした日本ブランドのビール、ウイスキー人気は、さらに日本酒にも飛び火したようだ。

関税庁によると、1~3月の日本酒の輸入量は1262トンを記録した。昨年の輸入量は4298トンで、2018年の5444トン以来、コロナ禍で落ち込んだが、復調の兆しを見せてきた。今年の輸入量は昨年の水準を上回る勢いとなっている。

もともと韓国での日本酒需要はそこまでなく、みやげでもらったり、韓国焼酎に飽きたりしたときに飲む程度で、なじみはなかったのだ。

しかし、円安で旅行先に日本を選ぶ人が急増し、昨年は約700万人の韓国人が日本に旅行した。現地で日本酒の味を知った後、韓国でもこれを楽しみたいという消費心理が韓国の日本酒ブームを押し上げているとも言われている。

この傾向は、業界の日本酒の取り扱いに対する動きからもわかる。映画「THE FIRST SLAM DUNK(ザ・ファースト・スラムダンク)」が韓国の若者に大ヒットすると、スラムダンクの人気キャラクター、三井寿(みつい・ひさし)の名前の由来となったという福岡県産の酒「三井(みい)の寿(ことぶき)」が、需要に追いつかないほどの販売量を記録した。

品目は約20→120に

コンビニブランド「GS25」は最近、1~3月の日本酒の販売量が前年同期比で7倍にも増したと発表した。売り上げでみると、なんと588.2%も増加している。GS25が2021年に扱った日本酒の品目は約20にすぎなかったが、今年は120に拡大した。GS25やCUなどのコンビニブランドは、近いうちに日本酒にふさわしいおつまみを発売する予定だという。

もはや韓国で人気の日本産アルコール商品は、ビール、ウイスキー、日本酒と広がり、その影響力は社会全般に広がりつつある。

(現地ジャーナリスト/ノ・ミンハ)

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