漫画家と脚本家、女性クリエイター同士の確執に読めてしまう

その結果、芦原氏は脚本家への不信感を募らせていった。脚本家はこれまで「ミステリと言う勿れ」などの漫画原作、小説原作ドラマを手がけてきたが、それが脚本家発信のアイデアかどうかは不明ながら、同作でも男性キャラクターが女性になるなど、原作を変えた点があり、原作をアレンジしてもOK、つまり「改変が当然であると考えているテレビ局のプロデューサーもいる」(小学館報告書)という環境で仕事をしてきた。つまり、小学館の報告書でさえ「原作の世界観の共有を強く求める」「難しい作家」と表現される芦原氏との相性は最悪だった。

小学館は6月3日、報告書を公表(写真=Kounoichi/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

日本テレビから小学館に送った台本は、撮影上の諸事情を汲んでアレンジしたものであり、脚本家ひとりの構想のみで作り上げられたものではない。そのことは日本テレビから小学館、そして芦原氏にも念押しされたようだが、芦原氏は、原作から変えたり付け加えたりしたセリフや、誰と誰が会って何をするというようなエピソードの順番の入れ替えから、「脚本家は原作の世界観を十分に理解していない」「むしろ悪いほう(レベルが低い内容)に変えている」と判断したようだ。「(この変更したセリフは)普通に感じ悪いなと思ってしまう」などの率直なダメ出しが、日本テレビに伝えられるようになった。

こじれてしまった2人の関係

小学館と日本テレビの間ではこんなメッセージがやり取りされている。

「原作者(※芦原氏)の指摘は(※小学館編集者)C氏が言葉遣いを柔らかくしたものであっても、本件脚本家にとっては厳しい口調であってそのまま読むのはつらくなった」
「原作者が本件脚本家の書くものが耐え難い、別途Huluで配信予定だったスピンオフ作品も取りやめると言い出している」(以上、日本テレビ報告書より)


芦原氏より「●●さん(※脚本家)のオリジナルが少しでも入るなら、そもそも私は9、10話に永遠にオッケー出さないです。●●さん(※脚本家)の度重なるアレンジで、もう何時間も何時間も修正に費やしてきて、限界はとっくの昔に超えていました」(小学館報告書より)

完全に関係がこじれてしまっている。女性の生き方、生きづらさを描く物語を女性漫画家が生み出し、それを女性脚本家がドラマ化したのだが、結果的に、女性同士のバトルになってしまった。