老眼鏡が老化を進める理由
実は、最大の問題は座り方です。普段の座り方では、体の歪みに従って左右のどちらかに重さが偏ってしまいます。正しい姿勢で座るには、座骨を中に入れて、骨盤を立たせる必要があります。座骨とは、お尻の真ん中を押したときにコリコリと指に当たる骨のこと。椅子に座ったときに座骨の位置が正しくないと、骨盤が歪むうえに、腰痛の原因になります。
おすすめの方法は、椅子にひと工夫を加えるだけ。クッションや座布団、折ったタオルなどを、座骨の下に敷くだけで骨盤を立てた状態で座れます。座骨に体重がしっかり乗るように、タオルを折るなどして、高さを調節しましょう。
道具がない場合でも、骨盤を立てて座るためのコツがあります。一度お尻を浮かせて、内ももに力を入れて再び座りなおすという方法です。まずはいつも通りの座り方で座り、かかとを引き、その状態から椅子の両端に手をついて、お尻を持ち上げます。お尻を浮かせた状態で膝をぐっと締めながらお尻を下ろし、左右のももが開かないよう、締めたままの状態で座ります。こうすると、骨盤が立った状態を維持できます。
これらの姿勢改善の習慣を続けることで、骨盤の歪みから頭蓋骨の歪みまで解消され、目の不調も改善されます。立ち方、歩き方、座り方のコツがつかめたら、意識的に体を動かす機会を増やしましょう。運動不足は、体が歪みやすくなる原因の一つ。適度に体を動かすほうが、筋肉が衰えず、体は歪みにくいのです。
同様に、目も適度に使うことで衰えにくくなります。たとえば、見えにくいからといって老眼鏡に頼りっぱなしだと、眼球のピント調節機能が使われなくなり、かえって視力が衰えてしまう可能性があります。老眼の進行を遅らせるには、ピント調節を担う筋肉を鍛える必要があります。私は70歳が近づいてきた今でも、メガネや老眼鏡をほとんど使いません。
見る力のトレーニングを行うのもよいでしょう。片手を前に突き出し、立てた親指の爪を見つめる「近くにピントを合わせる」行動と、窓の外などを見る「遠くにピントを合わせる」行動を交互に10秒ずつ行うことで、ピント調節に使われる毛様体筋を鍛えることができます。スマホやパソコンなど、手元の画面ばかりを見ていると、目が疲れてしまいます。近くと遠くを交互に見て、スクワットのように目の筋肉を動かして鍛えましょう。
姿勢改善やマッサージを習慣化して歪みの矯正に取り組めば、目の不調から解放され、健康な目を保てます。視力の低下を加齢によるものだからといってあきらめず、眼圧リセットで医者いらずの目を手に入れましょう。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。