骨格矯正で視力が0.2上がった

私が2021年に出版した『眼圧リセット』は大反響を呼びました。眼科医ではなく、骨格矯正士の私がなぜ眼圧の本を出したのか。きっかけは整体サロンのお客様の声でした。顔や頭の、美容のための骨格矯正を行ううちに、なぜか「目がよく見えるようになった」という感想を続々といただくようになったのです。実際に施術前と施術後に視力を測定してみると、お客様10人中7人か8人の割合で、両目の視力が0.2以上アップしていました。

清水ろっかん
清水ろっかん 整体サロン「ろっかん塾」主宰。独自のメソッドと即効性のあるテクニックが評判を呼び、不調改善や美容・アンチエイジングのゴッドハンドとして各メディアで活躍中。『眼圧リセット』(飛鳥新社)など著書は累計110万部を超える。

また、眼圧の低下にも効果が見られました。緑内障に悩む患者の方が、私の施術を受けて「視界が明るくなった」と感じ、病院で眼圧を測定したところ、眼圧が1ミリメートルHg(Hg=水銀柱、圧力の単位)下がっていたのです。この結果には主治医も驚いたそうです。1ミリメートルHgの眼圧低下は緑内障進行のリスクを10%低下させるという研究結果もあり、この患者さんには大変喜ばれました。

このような反響を踏まえて独自の研究を重ね、専門医から理論的な裏付けも得て確立したのが「眼圧リセット」のセルフケアです。自分の手で靭帯じんたいや筋肉のこわばりをほぐし、眼窩がんかを押し広げ、眼圧上昇をおさえる方法です。

検査で緑内障が見つかると、眼圧を下げる目薬を処方されます。緑内障は目の国民病ともいえる病気で、日本では失明に至る原因の第1位を占めます。20代、30代での発症は比較的少ないのですが、40歳以上の20人に1人、60歳以上では10人に1人が患うとされています。

ただし、「年を取ればいずれ緑内障になるのは仕方がない」「どうせみんなかかるのだから、そのときは病院に行ってレーザー治療や外科的手術に頼るしかない」という偏った認識は間違いです。定期的に眼科で検査をすることはとても大切ですが、緑内障はセルフケアによっても遠ざけることが可能なのです。

「眼圧リセット」の効果は緑内障予防だけではありません。私が考案した自宅でもできるマッサージによって、疲れ目などさまざまな目の不調を改善し、視力を上げることもできます。すでに目の老化が進んでいると自覚している人も、今から始めても遅すぎるということはありません。

眼圧は下げておくに越したことはない

眼圧をリセットするとはどういうことでしょう。そもそも眼圧とは、視覚に欠かせない、眼球の中の圧力のこと。眼圧があることで、眼球は弾力を保つことができます。私たちがさまざまなモノの色や形を見るとき、眼球にある水晶体や角膜がレンズの役割を果たすことで、網膜に映った情報を脳に伝えます。もしも眼圧がなければ、眼球は弾力を失って形がゆがみ、レンズは像を結べなくなってしまいます。

一方で眼圧は、上がりすぎると視神経にダメージを与え、目のトラブルを引き起こす原因にもなります。通常、眼圧は房水が循環することで一定に保たれています。房水とは、眼球の組織に栄養を届ける役割を持つ液体のことです。眼球内の一部の器官は血管を持たないため、房水が血液の代わりに栄養を運んでいます。この房水の量が増えて目詰まりを起こしたり、流れが滞ったりすると、眼圧が上昇してしまいます。

房水が過剰になった目は、破裂しそうなまでに膨らんだ風船のようなものです。高すぎる眼圧は視神経を圧迫して、緑内障を引き起こしやすくなるのです。

しかし、眼圧が低くても緑内障になる人がいることから、緑内障の原因は完全に特定されているわけではありません。少なくとも、日本緑内障学会のガイドラインでは、「通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは進行を抑制しうる」と定義されています。つまり、眼圧を下げることが症状の抑制のための治療になりうると、医学的に明らかになっているのです。