甘い菓子パンがもっと老化を進めるワケ

グルテンとカゼインが、腸の粘膜に炎症を起こすことによって老化を進めることはすでに説明しました。さっそくグルテンフリーやカゼインフリーに取り組んでみようという方に向けて、最大限のアンチエイジング効果を得られるコツをご紹介します。

体の老化とは、おもに「糖化」と「酸化」だといわれています。体の中にあるたんぱく質に糖がくっつき、たんぱく質の機能が落ちることが「糖化」です。老化とはさまざまな機能が低下することですから、たんぱく質の機能が落ちる=老化といえます。骨や筋肉、ホルモンの一部もたんぱく質が主材料になっています。たとえば、骨のたんぱく質に糖がつくと、骨がしなやかさを失います。骨密度が低くなくても、パキッと折れやすくなるのです。

体の中に糖があれば、必ずたんぱく質とくっつきます。そのときに問題になるのは、血液中の糖濃度です。濃度が高いと糖化が進むので、濃度を上げないことが大事です。特に、ブドウ糖よりも果糖が体の糖化を進めることがわかってきました。菓子パンや清涼飲料水、甘い乳飲料などに含まれる「果糖ブドウ糖液糖」をできるだけ避けることも大事です。

また、血中の糖濃度が低い時間をできるだけ長くするためには、血糖値を急に上げないことも重要です。繊維質の多い野菜サラダを先に食べるなど、順番を工夫するのも有効です。それだけでも糖化=老化が防げます。

一方、腸の炎症によって起こるのは体の酸化です。酸化はサビとも言われますが、抗酸化力を持つ食品をとることで防ぐことができます。たとえば、緑黄色野菜、ビタミンC、ビタミンEなどが知られています。また、細胞の中で起こる酸化反応を防ぐ成分としてはグルタチオンが知られています。サプリメントでとることもできますが、すぐに分解されてしまい細胞の中まで届かないという問題があります。そこで、細胞の中のグルタチオン濃度を上げるために有効なのが魚の油です。魚油をとっていると細胞の膜に魚油が取り込まれます。魚油の成分がたくさん取り込まれている細胞はグルタチオン濃度が高くなり、サビにくくなるのです。

グルテンフリー、カゼインフリーと同時に、糖化と酸化の防止にも気をつけると、一層のアンチエイジング効果が期待できます。さらに発酵食品を積極的にとるなど、「腸活」といわれている健康法とあわせて実践するのもよいでしょう。栄養は吸収されてはじめて意味を成します。健康によい栄養素をきちんと吸収するために、腸を荒らす食材は避けて、腸内環境を整えておくことが大切なのです。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年6月14日号)の一部を再編集したものです。

(構成=向山 勇)
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