答えは2つあります。食品添加物そのものが人体に与える影響と、食品添加物がもたらす塩分・油分・糖分の過剰摂取です。私は、加工食品の味と構造を作る3つの物質を「黄金トリオ」と呼んでいますが、この黄金トリオが健康を損なう原因のひとつだと考えています。その3つが「食塩(精製塩)」「うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム、5’‐リボヌクレオチドナトリウムなど)」「たんぱく加水分解物(動物性・植物性どちらも)」です。

この3種を添加すれば、食品は濃厚な味になりますが、風味や香りがないので、なんの味かはわかりません。そこで目的に応じて各種エキス類で風味を付けます。たとえば、この黄金トリオにかつおだしと粉末醤油、ネギを加えれば「お吸い物」ができますし、チキンエキス、香辛料やネギ、白ゴマを加えれば「ラーメンスープ」が完成します。基本的に超加工食品にはこの3つが入っていますので、この「黄金トリオ」を軸に解説していきます。

まず「食塩」ですが、塩自体は人体に必要なミネラルです。しかし、塩分の取りすぎは高血圧を招き、生活習慣病のもととなります。厚生労働省は健康な成人の一日の食塩摂取量を、男性は7.5g未満、女性は6.5g未満と目標値を定めています。ですが、普通サイズのカップ麺を1つ食べるだけで約5〜8gの塩分を摂ることになり、一食でほぼ目標値に達します。

実は、カップ麺のスープにおける塩分濃度は海水と同程度の2〜3%になる商品もあるのです。海水は塩分濃度が約3%で、塩辛くてとても飲めたものではありませんが、カップ麺はあまり塩辛いとは感じませんよね? これには添加物の力が関係しており、塩辛いスープに添加物やエキス類を入れると3%の塩分が2%ぐらいにしか感じないようになります。

これを実際の塩分「絶対塩度」に対して「舌感塩度」といいます。添加物を加えることで角が取れて、マイルドな味わいに感じるのです。

それでは、生活習慣病のリスクを避けるためには「減塩」と書かれた商品を買えばいいのでしょうか? 残念ながら、そうではありません。伝統的な製法で作られた梅干しや塩鮭が塩辛く感じるのは、食品添加物が入っていないので当然のことです。こうした伝統的な製法で作られた食品は塩分が高いためにたくさんの量を食べることができないのですが、「減塩」と書かれた食品は大量の食品添加物を投入することで塩の役割を補っているため、一度の食事でたくさん食べてしまうおそれがあります。それだけではなく、減塩化されることで添加物を大量に摂取してしまうリスクもあります。

たとえば「減塩梅干し」の食品成分表を見てみると、「アルコール」「調味料(アミノ酸など)」「pH調整剤」「ステビア」「サッカリン」「酸化防止剤」「増粘多糖類」……など、塩と梅だけで作られた梅干しと比べれば驚くほど多くの食品添加物が入っていることがわかります。健康のために減塩食品を買っていても、実は大量の食品添加物を摂取してしまうことがあり、その中には後述するようなリスクのある添加物も多くあるのです。

「無添加食品」は無添加ではない

次に紹介するのは「うま味調味料」です。これらの多くは核酸とアミノ酸のナトリウム化合物です。代表的な「グルタミン酸ナトリウム」はサトウキビから作られる廃糖蜜の中で、遺伝子を組み換えられたバクテリアを培養してグルタミン酸を生産します。これを苛性ソーダで中和し、グルタミン酸ナトリウムにします。化学調味料という名称は公的にはなくなりましたが、遺伝子組み換え技術を用いることから、私はあえて化学調味料と呼んでいます。