心臓を蝕む「5大リスク」
心臓力をアップさせるために特に気をつけたいのが、次の5大リスクです。
高血圧
高血圧は心臓や血管、そして全身の臓器にかかる負担そのもの。動脈硬化が進行すると、全身の臓器を障害する大きなリスクとなります。これについては、少し詳しく後述します。
脂質異常症(コレステロール、中性脂肪)
悪玉コレステロールや中性脂肪の増加によって、動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の大きな原因となってしまいます。
糖尿病
糖尿病は動脈硬化が加速して進行し、心臓病、特に心筋梗塞の危険性が高まります。胸の痛みを感じない「無症候性心筋梗塞」にも注意しなければなりません。
喫煙
喫煙は血管を傷つけ、血栓を形成し、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞を引き起こします。低タール・低ニコチンタバコに切り替えても、心筋梗塞のリスク低下にはつながりません。タバコとガンの関係以上に危険です。
家族歴
親子は顔が似るのと同じように、心臓についても家族歴の影響があります。親が心疾患を発症した場合、子も同様のリスクを負う場合がある。体質は遺伝するからです。ほかの項目に問題がなかったとしても、しっかりケアしていかなければなりません。
WHOの調査では、25歳以上の3人に1人が高血圧
日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2019』(ライフサイエンス出版)では、診察室で測った血圧が「収縮期(最高)血圧140mmHg以上、拡張期(最低)血圧90mmHg以上(診察室血圧)」を高血圧としています。
日本の高血圧患者は4300万人。40歳以上の全人口の50%以上が高血圧という数字を聞かされると、みなさんビックリします。
また、中高年だけでなく、若者たちの血圧も上がり続けています。若い人たちの多くは血圧を計ったりしないので気づいていない、いわゆる「かくれ高血圧」ということもあるわけです。
世界的に見ても高血圧は急増しており、WHO(世界保健機関)の調査では、25歳以上の3人に1人が高血圧で、世界で10億人を突破しています。近い将来、4300万人の「高血圧患者」の数はどこまで増えるのか、想像もつきません。
高血圧はいま、日本人の健康をおびやかしている最大の敵といっていいでしょう。
それは、放っておくと多くの深刻な病気をもたらします。狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、それに心臓肥大からの心不全。そういう心臓の病気ばかりか、脳の血管が破れたり詰まったりすれば脳出血や脳梗塞、つまり脳卒中が発生します。
あるいは、腎臓が傷ついて人工透析が必要になったりすることも。
特に症状はなくても、すべての臓器に障害が発生する危険が高まります。