授業に次いで発生率の高い「旅費に関わる自腹」

旅費に関わる自腹が2022年度1年間で発生したと回答した人は回答者全体の37.1%(1034人中384人)だった。今回尋ねた項目のなかでは、授業に次いで発生率が高いのがこの旅費に関わる自腹である。

旅費についても職別に詳しくみておこう(図表4)。

福嶋尚子、栁澤靖明、古殿真大『教師の自腹』(東洋館出版社)126ページより

小学校では、管理職層の46.2%(52人中24人)、正規教員の33.7%(362人中122人)、非正規教員の17.3%(52人中9人)が経験している。

中学校では、管理職層の44.2%(52人中23人)、正規教員の48.3%(362人中175人)、非正規教員の23.1%(52人中12人)が経験している。

事務職員だと18.6%(102人中19人)の人が経験したと回答していた。

旅費では、管理職層や、正規教員が自腹をする割合が非常に高くなっており、小・中学校ともに半数程度の人が一年間で旅費に関わる自腹を経験している。

それと比較すると多少割合は下がるものの、非正規教員や事務職員の場合も2割前後と少なくない割合で自腹が発生している。

旅費に関わる自腹の内容としては、家庭訪問や教育委員会や他校への訪問などの出張が主要なケースだ。

管理職層や正規教員の自腹発生率が他と比べて高いのは、家庭訪問などの外出をする業務が多く組み込まれている場合に自腹が発生しやすくなっているということだろう。

また、相対的に発生率が低い小・中学校非正規教員(小学校:17.3%、中学校:23.1%)や事務職員(18.6%)でも、ある程度の人が自腹を切っている。今回の調査で目立った家庭訪問などの他にも、さまざまな旅費に関わる自腹をしなければならない理由が遍在しているのだろう。