客観的にグループを見てきた最年少

ファンは「まさにそれを待ってたんです」とばかりに絶叫する。

スタジオで発表すれば料理コーナーを見ている観覧客のファンが喜ぶし、NOは言えないはずだ。

野口のこの目論見は見事に当たった。

そしてリーダーは忘れた頃に告げられた企画に、きっと思ったはずだ。「きたか」と。

「日帰りですか? 泊まりですか?」

と確認すると、泊まりであることが告げられてまた5人は驚く。

「マジか⁉」

タクヤは吠えてる。ゴロウチャン、ツヨシもまだ理解が出来ていない。

そんな中でシンゴも驚いていたが、ニヤリとしていた。

シンゴはメンバーの中で一番年下でいながら、ずっと客観的にグループを見てきた人だ。

こんな大胆なことをスタッフの意見だけで言うはずがない。あるとしたら、絶対に「リーダーが言い出したはずだ」と思ったのだろう。なにより、番組の状況も理解している。だからこそ、5人で旅することに「えー⁉」とリアクションしながらも、成立する方に話を進めていく。

裏ですべてを理解し、進めていってくれるのがシンゴだった。

リーダーと演出家の「阿吽の呼吸」

そのスタジオで、マネージャーもスタッフもいない旅なんだということを説明する。

結成して25年。番組が始まってから17年。

鈴木おさむ『もう明日が待っている』(文藝春秋)

ファンの期待値もマックスに上がる。僕たちスタッフの、そしてなにより「そんなことすんの?」と文句を言ってる風だった5人のメンバーの期待値も上がっている気がした。

メンバーにいきなり5人旅の告知をしたこの日の収録終わり、演出の野口やプロデューサーの黒林さんやもう一人のプロデューサーの春田に「なんでこんなことするの?」と言ってきたメンバーが一人もいないことが「OK」の証拠だった。

リーダーが野口に「いよいよやるんだな」と言うこともなかった。確かに最初に言い出したのはリーダーではあったが、それを聞いてすぐに実行したわけではなく、あくまでも野口の思いで決行することだ。

阿吽の呼吸。

リーダーはそれを理解していたのだろう。

「あとは任せた」と。

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