N中に進学させて良かった

――今春から通い始めているそうですが、様子はいかがですか?

【西村さん】長男は今いろんなことに熱中していて「これをしたい、あれをしたい」というネタには事欠かないようです。

N中は通学するコースもネットのコースもどちらもありますが、彼はN中のカルチャーがどっぷり好きになったので、週に5日、1時間かけて自宅のある逗子から横浜まで通っています。歩いて10分の小学校には行かなかったのに!

――すごい変化ですね。

【西村さん】そうなんです。そういう生徒がたくさん通っていて、出席率も非常に高いようです。だからみんな集団生活が嫌というわけじゃないんですよね。

一般の学校とは違って、決まった教科を教え込むのではなく、自由に過ごせるようです。いろいろなやり方があるのだと感じました。

「子育て」では息苦しくなる

――西村さんは子育てに対してどっしり構えているように見えます。

【西村さん】葛藤は常にありましたよ。長男が学校に行かなくなったときはさすがに心配しましたし。だから「休んでも良いけど、昼から行ってみようか」とか「今日は休んでいいけど明日は行ってみる?」とか、落としどころを見つけて行ってもらうように仕向けたり、試行錯誤はしていました。

ただ、何をするにしても、まず子どもが納得することが大事だと思っていました。

もちろん、子ども相手のことなので、その場では親の言うことに納得しても、数日後ぐらいにひっくり返されちゃうこともあります。それでも、押し付けではなくお互いに納得する形にしたかった。そういう意味では、エネルギーは使っていたように思いますね。

書籍内でもあえて「子育て」という言葉を使わなかったように、子どもは育てるものであると同時に育つものだと思っています。もともと、そのふたつを一括りに「子育て」と断定してしまうことに抵抗がありました。

“子育て”という意識が強いと「どうにかしなくちゃ」と、ついつい思ってしまいませんか。

幼児期は別としても、成長するに従って親の介入余地は極端に下がるはず。であれば、“子育て”という意識でなく、一貫して“子どもと暮らす”という認識でいた方がニュートラルだし、その時の子どもと親の状況に応じた対応や関係性が築けると思います。

長男がN中に行きたいと言ったとき、彼の成長と意思を感じました。だから僕はそんなに迷うことなく彼の背中を押すことができたのだと思います。