不登校気味だった息子に思ったこと

――そもそも、なぜ長男の中学受験を考えたのでしょうか?

【西村さん】長男は小学校にフィットしていないようで、実際に休みがちだったんです。なので、環境を変えるために中学受験は致し方ないと思っていました。

ただ、私立中とはいえ結局は同じ“学校”という枠組みで運営されている以上、仮に受かったとしても数カ月したら行かなくなってしまうかもしれない、と思うようになりました。

お金も時間もエネルギーもかけて受験するのに、行かなくなってしまったら、努力が成果に見合わないのでは、と。

――ご夫婦で同じ考えだったのでしょうか。

【西村さん】妻も「小学校が合わない以上同じ環境を続ける選択肢はないので、受験を通じて探っていこう」というスタンスでした。ただ、妻自身は「幼稚園や中学、高校は楽しかったけど、小学校はまったくだった」そうです。

一方、僕は小学校の頃は天才児扱いされていて、実際にいろいろよくできたので、小学校は良い思い出しかないですよね。

子どもとしては「ママの言う通りだ」という感じだったのかなと思います。

――「小学校がつまらない」という考えは、西村さんとしては理解しがたかったんでしょうか。

【西村さん】そうですね。「小学校なんてひたすら遊ぶ場所でしょ」という認識だったので最初は理解できなかった。とはいえ、長男は実際に学校に行きたがらないので、否定のしようがないですよね。なので「じゃあ、プランBはどうしようか」という中で一緒にいろいろ考えました。

子どもからの提案にまっさきに思ったのは「面白そうじゃん」。
撮影=プレジデントオンライン編集部
N中について調べた結果、長男にかけた言葉は「最高じゃん。すぐ見にいこう」。

フリースクールの何がいけないのか

――学校に行きたがらない長男に対して、叱ることはなかったのでしょうか。

【西村さん】まったくなかったですね。「黙って行け」というのもひとつの親子のあり方かもしれないですが、僕はそれで息子に口を閉ざしてほしくなかった。だから、話し合いをしつつ、小学校は行ったり行かなかったりして過ごしていました。

――結果、長男は小6の時にN中に通うことを決めたそうですね。

【西村さん】N中は学校教育法上の一条校ではないので、地元の中学への在籍が必要になります。でも一条校でないことはまったく気にならなかったですね。

N高は知識としては知っていたのですが、中学版があるとは知らなかったんです。どういう学校なんだろうという興味の方が大きかった気がします。

一条校ではないから進学の選択肢にいれない人が多いと聞いて、僕としては新鮮な驚きでしたね。「そんなことどうでも良くない?」という。