素人が株価を予測するのは非常に難しい
退職後の生活資金が不安で、株式投資で配当金を得て生活費に充てよう、と考えている人もいるだろうが、それは簡単なことではない。
なぜなら、株価の予測は非常に難しく、予測が外れた場合に損失が生じる可能性があるからだ。例えば、2021年2月に日経平均株価が3万円を超え、2024年1月時点では3万5000円まで上昇している。5年前にこうなることを予測できた人は、果たしてどれほどいるだろうか。
株価上昇のきっかけは、当時の安倍首相が景気対策を講じたことだった。その後、株価が上昇すると予測した一部の投資家が株式を購入し、企業の収益予想も好調ということで、さらに株価が上昇していった。
勝ち組が笑い、負け組が泣くシビアな世界
株式投資は、将来を見通せる人が利益を得る仕組みになっている。そうした能力がない人は、指をくわえながら株価が上がっていくのをじっとみて悔しがるしかない。
株価の動向を予測するためには、数学や経済の知識を使いながら、社会の動きをかなり先まで見通さないといけない。確実な予測は難しいし、勝ち組と負け組ではっきり差が出るシビアな世界だ。
そんな金融商品を勧める証券外務員が、どれほど数学や経済の知識を持っているのかは甚だ疑問だ。彼らの金融リテラシーが低ければ、顧客に対して誤った情報を提供したり、相手の無知につけ込んでひどい金融商品を売りつけるケースもあるだろう。
現時点では、どんな経済学のツールを駆使しても、株価を確実に予測することはできない。しかし、株価の傾向くらいなら読むことができる。逆にいえば、まったく勉強をしていなければ傾向すらつかめない。そうした人は、退職金で余裕ができたからといって、いきなり株式投資には手を出さないほうがいい。