レンタルでもリユースでもないゲオの「最大の強み」

【遠藤】レンタルマーケットでいえば、創業した年には、すでにレンタルビデオブームは終わりかけていました。その後、インターネットが一般的になっていくのですが、当時から「いずれは配信になる、レンタルなんてなくなる」と言われていました。

そのことが頭にあったので、ゲオは創業当初からレンタル一本ではなく、多商材を扱って粗利を積み重ねていく方針をとったのです。レンタルでも映像ソフトだけでなく、ゲーム、CD、本を扱いました。新品の販売もやりましたし、中古品の買い取り、リユースもやっていました。何でもいいという考え方だったのです。

私どもは売る、買う、貸すという3つのことを同じ1台のレジを使いながらやっています。ビデオを借りに来た方、ゲームソフトを売りたいという方、新品CDを買いたいという方、同じ基幹システムで対応しています。システムはベンダーさんに頼んだのではなく内製しました。

初期のシステムはインターネットが一般化する前の「PC9801」(NEC)から始まっています。このシステムを内製で開発したことがゲオのいちばんの強みであり、面白さだと思っています。

撮影=西田香織
創業者の故遠藤結城氏。レンタルビデオを中心に多商材を扱う手法で会社を急成長させた

縦書き表示を活かしてスペースを活用

1999年、ゲオは藤田でん(日本マクドナルド創業者)が率いる藤田商店から日本ブロックバスターを取得して子会社にした。藤田は銀座のユダヤ人と呼ばれ、マクドナルドの日本展開を実行し、ソフトバンクの孫正義に「IT産業を狙え」と示唆した慧眼の経営者だ。藤田は遠藤の父親を気に入り、後にゲオの社外役員になった。藤田が社外役員になったのはソフトバンクとゲオだけだ。

【遠藤】ブロックバスターを子会社にした後、中身を大きく変えました。アメリカから来たブロックバスターは本国同様のやり方で、アダルト物は置いていませんでした。また、映像ソフトはすべてラックに挿すのではなく、正面を見せて陳列していたのです。日本語は縦に読めるから、ラックに挿しても背表紙のタイトルはわかります。

一方、アルファベットは縦に置くと背表紙のタイトルが読みにくいいから正面を見せて陳列していたのです。すると、膨大なラックの数がいるので、店舗面積が広くなる。家賃も高くなります。場所効率がよくなかったのです。

私たちは陳列方法を変え、余ったスペースにリユースなどの商品を置いて、商材ミックス店にしました。それで収益力が高くなったのです。ただ、改装するお金がなかったので銀行からお金を貸していただいて、それを保証してくださったのが藤田さんでした。藤田さんにはずいぶん、よくしていただいて、わたしはお目にかかってはいませんが、名古屋の自宅にお泊りいただいたこともあります。

武藤修靖『ゲオの商法』(プレジデント社)