常にベストを目指しつつ、さらなる高みを追求する

現状に満足してしまったら、欠点を見つけることもできません。

どこに改善、改革の余地があるのかを把握せずして、進化していくことは不可能なのです。私が「サイゼリヤの料理は、安くておいしい」と満足した瞬間から衰退が始まるのも、同じ理屈です。

ですから、その時点でベストの料理を提供することが大前提ではありますが、より高みを目指し試行錯誤を重ねなければなりません。

「私の手掛けた商品は、品質が悪くて高い」
「僕の携わったサービスは、使いづらくて高い」

あなたもぜひ、自分の携わった商品やサービスの欠点を見て、厳しく評価するようにしてください。

欠点から目をそらさず、自戒し続けていれば、有頂天になることはありません。反省を繰り返し、「人のため」と努力を積み重ね続けたとき、真の意味でこの世界とつながり合うことができます。

その「つながり」によって、エネルギーが周りに伝播して人が引き寄せられ、そのビジネスがなくてはならないものになっていくわけです。

サイゼリヤの料理を「本物だ!」と思った瞬間

とはいえ、私も「おいしい」と言ってしまうこともあります。体調を崩して、10日間の入院をしたことがありました。

ストレスがたまり気持ちが滅入っていたのでしょう、健啖家であるはずの私の食欲が、まったくなくなってしまったのです。

驚いた主治医が、病院の特別メニューを発注してくれましたが、それにも食指が動かない。贅沢な話ですが、ほんの少ししか箸をつけられなかったのです。

「正垣さん、どうにかして食事からも栄養を摂ってもらわないと困ります」

そう主治医に促された妻は、苦肉の策として、サイゼリヤの店舗を訪れました(もちろん、立場は一切明かさず)。

テイクアウトをやっていなかったので、妻は注文した料理数品をこっそりと容器に詰めて、私の病室に届けてくれたのでした。

私はそれが何かを知らないまま、容器の料理に手をつけました。すると、2~3人分はあろうかという料理を「おいしい、おいしい」と言いながら、あっという間に平らげてしまったのです。

妻によると、青ざめていた私の顔は一気に血色が良くなり、「この料理は本物だ!」と賛辞を惜しまなかったとか。