歌舞伎町と六本木に集結している理由

じつはこの事故現場が「新宿区大久保」というのには、必然の意味がある。

隣町の新宿・歌舞伎町には、本当に電ジャラス自転車が多いのだ。それもスロットル付きでタイヤの太い(ファットバイク)タイプのものが。

筆者撮影
タイヤが太いタイプのフル電動自転車。これもナンバープレートは付いていない

歌舞伎町と肩を並べる電ジャラス密集地帯が、六本木界隈である。六本木は私のオフィスの近くなのでよく見るのだが、なんだか銀色に光るものをジャラジャラつけた「ヤカラ系」が多い。

歌舞伎町と六本木、共通点は「ホストクラブ」だという。

私の知り合いの事情通に聞くと、ホストの下っ端、まだそんなに稼げないなりたてホストが「ゴツくてカッコいい」「アウトローな感じがいい」と、こうした電ジャラスを選ぶのだそうだ。

正直に言うと「維持費の安さ(税金がかからない)」「燃費がほぼゼロ」「ヘルメットをかぶらなくても捕まらない(髪型が保持できる)」「酒を飲んでも捕まらない(と思い込んでる)」あたりも人気の秘密なのだという。

やっかいなのが合法な「電動サイクル」

「下っ端ホストたちは見栄っ張りだから、都心に住むんですよ。すると家賃でいっぱいいっぱい、だから、ああいうのに乗って倹約するんです」という。

「明け方にああいうのを見かけたら気をつけたほうがいいですよ、絶対に飲んでますから」

なぜこんな無法者を放っておくのか。私自身、警察や行政に、かなりのいらだちを覚えるのだが、先般、いよいよ次なる矢が放たれた。

電ジャラス自転車カテゴリー3(合法)の「電動サイクル」というやつだ。電動サイクルというより電動バイクだろう。なにせペダルがない。

2023年7月、改正道路交通法の施行によって導入されたこの新たなカテゴリーは、ひとことで言うと「電動キックボードにサドルがついたもの」であり、法律上のカテゴリーとしては「特例特定小型原動機付自転車」という。