バイデン政権が進めてきた政策を「ひっくり返す」
トランプ氏は、12月26日に彼が創設したSNS(Truth Social)に、ある世論調査の結果を示して、自分の再選について有権者が連想する言葉は「復讐(revenge)」が最多だったと投稿している。彼自身が訴えてきた「報復」と重なるから強調したのだろう。
トランプ氏の報復は、人事と政策の両面で考えられる。バイデン氏はじめ民主党とその協力者に報復人事を行い、バイデン政権が進めてきた政策を完全にひっくり返すということだ。
トランプ氏は4年間の大統領経験から、権力行使の方法などは熟知している。第2期政権では無駄なく、効率的に権力を行使するのではないかと予想される。結果的に、独裁政治になるということだ。
例えば人事面では、前回は途中から自分に忠誠心がないメンバーはどんどん外していった。今回は初めから忠誠心を重視した人事になるのではないかと見られている。
具体的な政策は「アジェンダ47」に提示
トランプ氏の政策は、彼が訴えてきたようにMAGA(Make America Great Again:アメリカを再び偉大な国にする)やアメリカ・ファーストが中核にある。彼と彼の支持者にとってはゲームのルールみたいなものだ。一方、MAGAに対立するのが「グローバル」で、バイデン氏はじめ民主党員についても、党内の対立候補であるヘイリー氏についても「グローバリスト」と呼んで非難している。
2020年の大統領選は、有権者から見ると「正義のバイデン」が「本音のトランプ」に勝利した戦いだった。バイデン政権は、トランプ氏のMAGAやアメリカ・ファーストから、国際協調へと政策を転換している。
トランプ氏の政策については、昨年2月に発表された「アジェンダ47」に提示されている。
Agenda47 主要ポイントの整理
1.不法移民に対する福祉打ち切り。不法移民の子女への市民権剝奪。出産ツーリズムによる入国の違法化。
2.バイデン政権が推進するグリーン・ニューディール政策を中止し、自動車産業における労働者の雇用と賃金を守る。
3.エネルギーにかかわる不必要な規制を撤廃。パリ協定からの再離脱。米国のエネルギー自立を推進し、世界で最もエネルギー効率を高くすることで、米国を製造超大国にする。
4.疲弊した米軍の再建。欧州に対して、バイデン政権が支援したウクライナ再建費用の償還を要求する。
5.公正かつ相互主義に則った貿易の確立。中国等へ依存する通商政策から脱却。中国への最恵国待遇の取り消し。
6.小児慢性疾病の増加や子供の健康問題へ対処する。
7.ホームレスや麻薬中毒にかかわる問題へ対処する。
8.FCC(連邦通信委員会)やFTC(連邦取引委員会)といった、非公選の「第四の政府機関」を大統領権限下に入れる。官僚機構を打破。
9.第3次世界大戦の勃発を防ぐ。ウクライナ戦争を即時終結させ、和平を実現する。
10.中国のスパイ行為を阻止する。中国が米国のインフラや重要産業を所有することを阻止する。