では、法を犯した際にはどうなるのか。現実問題として、現代の日本では形式的に賭博罪にあたる行為をしても、お咎めなしのケースがほとんどです。たとえば、全国で公然と行われているパチンコの換金が賭博罪にあたるのは明白ですが、警察により事実上承認されていて捕まる可能性はゼロ。雀荘や家庭で行われている賭け麻雀も一部の例外を除いて摘発されることはありません。
「一部の例外」で捕まったのが漫画家でタレントの蛭子能収さんです。1998年、彼は新宿歌舞伎町の雀荘において賭博罪の容疑で現行犯逮捕され、最終的に罰金10万円の刑を受けました。
何が問題だったのでしょう? 一つは、賭け金が大きかったこと。蛭子さんがやっていたのは、リャンピン(1000点200円)の東風戦と呼ばれるゲームで、1時間で3万円くらいの出入りがあるレートでした。ふたつ目の理由が、雀荘の売り上げの一部が広域暴力団の資金源になっているという噂で、このとき警察による一斉検挙が歌舞伎町で行われました。大相撲の野球賭博事件も暴力団との関連が大きな問題になりましたが、蛭子さんは見せしめ的に逮捕されたと思われます。
賭け額が常軌を逸した大金である場合や賭けに暴力団関係者が絡んでいた場合は逮捕される可能性が高くなります。また、100人単位の大人数から賭け金を集めて「ノミ屋」のようなことをすると逮捕される可能性が出てきます。これは刑法186条「常習賭博及び賭博場開帳等図利」が適用されて、3カ月以上5年以下の懲役に処されるかもしれません。
結論としては、余暇を利用して、暴力団関係者等のいかがわしい人物を絡ませず、少人数で、健全な金額でなされた賭博ならば捕まる可能性はゼロに等しく、問題にはならないでしょう。ただし有名人や公務員などはたとえ少額でも社会問題化するおそれがあるので若干の注意が必要です。
いずれにしても、法に触れる行為が横行しても実際は処罰されないというギャンブルに対するあいまいな取り扱いは、日本の刑法の大きな問題点だと多くの法学者は指摘しています。自分としては賭博罪を即刻撤廃すべきと考えていますが、どうなることでしょう。
※すべて雑誌掲載当時