株式だけに集中投資するべきでない理由

資産運用を長く続けるうえで重要なことは、分散によってリスクを抑えることです。特定の資産に集中することで、分散の効果が十分に得られず、リスクを取りすぎてしまう可能性があります。

柴山和久著『新しいNISA投資の思考法』(ダイヤモンド社)

かつては、投資といえば、個別企業の株を買うことが主流でした。個別株への投資は、対象が1社に集中するためリスクが高くなります。

個別株は、リスクが最も高くなり、リターンは企業によって高かったり低かったりとバラバラです。一方、株式のみの投資信託は、複数の株式に分散することで、個別の株式と比べてリスクが大幅に低くなります。

さらに、1つの銘柄に投資するのではなく、たとえば5つ、6つといった銘柄に分散するだけでも、リスクは下がります。分散の対象を広げることで、リスクはさらに下がっていきます。

しかし、株式のみで分散することが、世界の資産運用で標準的な方法かというと、決してそうではありません。長期的な観点の資産運用としては、リスクが高すぎ、分散のレベルとしては不十分といえます。

ライフステージも考慮しながら「リスク分散」を

世界最大規模の1つであるノルウェー政府年金基金をはじめ、資産運用のプロは、株式、債券、不動産など、さまざまな資産のバランスを計算し、分散して投資を行っています。

資産を分散することによって、特定の要因で大切な資産が大きく減ってしまうリスクを下げて、より長く資産運用を続けていくことが可能となります。

長期的にリスクを抑えるためには、株式だけでなく、債券を組み合わせることが重要です。債券のみの投資信託は、株式に比べるとリスクもリターンも低い資産ですが、銀行預金に比べるとリスクが高く、その分期待されるリターンも高くなります。

株式と債券を組み合わせて運用することで、リスクを抑えて、長く続けていくことが可能になります。

資産運用を始めたばかりで、運用する金額も少なければ、ある程度のリスクを取ってもよいかもしれませんが、いずれは株式の比率を下げ、リスクを抑えるべきです。

ライフステージが変わるにつれて、取れるリスクは変わってきます。債券など他の資産も組み合わせ、ライフステージの変化に合わせて、徐々にリスクを下げていくべきでしょう。