懸案の借金は繰り上げ返済で返すことができた

Rリースさんは悠然としている。

松永正訓『開業医の正体 患者、看護師、お金のすべて』(中公新書ラクレ)

「大丈夫ですよ。失敗した人、見たことありません」
「……でもぼくが最初の人になるかもしれませんよ」
「まあ、千葉大の先生ですから大丈夫でしょう」
「担保もありませんよ」
「大丈夫です。貸します」

迷った。迷ったが、建て貸しというワードの魅力がまさった。ぼくはその夜、妻と相談してRリースさんの話に乗ることにした。

話をしていると、Rリースさんはこういった建て貸し方式に慣れているらしく、クリニックを建てる業者もすでに決めてあった。全国的に有名なハウスメーカーだった。こうして、まず土地探しから始まった。紆余うよ曲折はあったが、ぼくの自宅から車で20分くらいの所に広い土地が遊んでおり、地主さんにお願いをしてクリニックが建つことになった。

で、懸案の借金であるが、これは計画以上に順調に返すことができた。はっきり言えば繰上げ返済で返した。当初はドカーンというほど患者さんは来なかったが、春に開業して秋には行列のできるクリニックになっていた。何がよかったのだろう? 自分ではよく分からない。岬の突端にぽつんとあるクリニックを目指したが、そうはならなかった。

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