どこまでが「政治活動」になるのか

なぜ、キックバックをするときに、議員の政治団体に入れて収支報告書に記載をするということをせず、使途が記録されて透明化された政治資金から、記録されずに何に使われたか分からない不透明な裏金へと変えられてしまったのか。

複数の自民党関係者を取材すると、「記録をつけると面倒だから」、そして「収支報告書に書けないお金の使い方をするため」という答えが返ってきた。

まず、「記録をつけると面倒だから」とは一体どういうことか。

キックバックが合法的に議員の政治団体に寄付された場合、その政治資金から政治活動として支出する際には全て記録をつけなければならない。

この支出はポスターやビラの印刷代から議員事務所の賃貸料、私設秘書の人件費などまで多岐にわたるが、一体どこまでを政治活動として支出して良いのかが、政治資金規正法に明確に書かれているわけではない。

「どこまで政治活動と捉えて支出して良いのか、政治資金規正法を所管する総務省に問い合わせても『条文に書いてある通り』としか言ってもらえない。正直、判断に困る」と自民党関係者はこぼす。

写真=iStock.com/imacoconut
※写真はイメージです

マスコミから問われる「モラル」という線引き

一方で、こうしたお金の使い道は、後からマスコミが収支報告書を調査することによって問題となる場合もある。「国会議員が交際費に○万円使っていた」などと指摘するような記事を皆さんも見たことがあるだろう。

つまり、政治資金としてどこまで使ってよいのか、法律での区切りは明確ではないが、マスコミが収支報告書を調べて問うてくるモラルという線引きによって、後から支出の適不適が判断されるのだ。

「そんな曖昧な基準で見られてしまうなら、いっそ裏金にして記録に残らない形でお金を使ったほうが楽」(自民党関係者)というのは、実際に事務を担う担当者の本音でもあるという。

ただ、それは国民に対して「政治活動に使った」と明確に言えるものに絞って、自制的に政治資金を使えば済む話である。

少なくとも、政治資金規正法を違反して裏金を作って良い理由には一切ならない。