現職国会議員の逮捕で政治の信頼が失墜
能登半島地震や羽田空港衝突事故など、年始から不安が広がった2024年。
中央政界ではさらなる激震が永田町を襲っている。
自民党派閥の政治資金パーティーに端を発する裏金事件のことだ。
1月7日、東京地検特捜部は、池田佳隆衆院議員と政策秘書を、共謀して政治資金収支報告書に嘘の記載をし、約4800万円の裏金を作っていたとして政治資金規正法違反容疑で逮捕した。
同じく、多額の裏金作りをしていたとして、大野泰正参院議員と谷川弥一衆院議員を立件する方針も、検察は固めているという。
これは昨年から既に報道されている通り、議員個人による「政治とカネ」の問題ではない。
自民党の安倍派が政治資金パーティーを開く中で、各議員がパーティー券を、ノルマを超えて販売した際に、収支報告書に記載をせずにノルマ超過分をキックバックすることが常態化していたという、組織的な違法行為のたった一部分に過ぎない。
国民の政治不信は高まり、自民党では政治刷新本部が設置され、二度とこのような問題が起きないように改革するための議論に入っている。
「選挙にお金がかかる」は理由になっていない
そもそも、どうしてこのような裏金作りがシステム化され、横行してしまったのだろうか。
よくテレビや新聞の報道では、「政治活動や選挙にお金がかかるから」という自民党関係者の声が紹介されているが、実はこれは裏金作りの理由にはなっていない。
この自民党裏金事件について勘違いしている人も多いが、この事件の問題点は、派閥から各国会議員にお金がキックバックされていたところにあるのではなく、記録をつけずにキックバックされていたというところにある。
キックバック自体は派閥の政治団体から議員の政治団体への寄付という形をとって、しっかりと記録をつければ、政治資金規正法に抵触することなく合法的にできるからだ。
そもそも、派閥の存在意義の1つは所属議員に餅代や氷代(冬や夏の政治活動重点時期に向けて配られる政治資金)などを配ることにあるため、派閥から所属議員の政治団体にお金が渡されることは日常的に行われている。
そして、そのように合法的に議員の政治団体に配られたお金は、政治資金として記録をつけた上で政治活動や選挙に使うことができるため、「政治活動や選挙にお金がかかるから」というのは、裏金作りの理由にはならないのだ。