「為替ヘッジあり」か「為替ヘッジなし」か
先にご説明したように、50代の方が資産管理のベースとして利用するのには、インデックスファンドが向いています。
私がこれから資産運用を始めるとするなら、新NISAで積み立てるファンドとして選ぶのは、1本で幅広く世界に分散投資できる「全世界株式インデックスファンド」です。
同じ指数に連動するファンド同士なら運用成績に差はありませんから、信託報酬が最も低いものを機械的に選びます。
なお、世界の株や債券に投資するファンドには「為替ヘッジなし」と「為替ヘッジあり」のタイプがあります。「為替ヘッジ」とは、為替レートの変動の影響を抑えることです。
為替レート変動の影響を抑えるには、先物取引やオプション取引などの手法を使うため、「為替ヘッジコスト」がかかります。「為替ヘッジあり」は、このコストの分だけリターンが低下するわけです。
私が選ぶのは、「為替ヘッジなし」のほうです。
もちろん「為替ヘッジなし」を選べば、為替相場が円高に振れた場合に、円ベースでの資産価値にマイナスの影響があります。
しかし、先にご説明したように、私は円安による資産価値の下落に備えるという観点では、通貨の分散をはかることが重要だと考えており、わざわざコストをかけて通貨分散の効果を打ち消してしまう「為替ヘッジあり」には魅力を感じません。
また積み立て投資であれば為替相場の変動についても時間分散が効きますから、新NISAで株式ファンドを積み立てながら、少しずつ外貨ベースの資産を増やしていくというのは、悪い選択ではないと思います。
新NISAで積み立てるファンドを選ぶなら
世界の企業に分散して投資するインデックスファンドとして私が選ぶとしたら、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま〈全世界株式〉)」(SBIアセットマネジメント)か「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJアセットマネジメント)です(図表2)。
どちらのファンドも、全世界の株式に投資するインデックスファンドの中で、ベンチマークは異なりますが、信託報酬が最安水準で、非常に低コストで運用することができます。
これら2本のファンドについて、詳しく中身を見ていきましょう。