“動線上”のイメージを明確にする

リバウンドしないお片づけのカギを握るのが、家の中で人が動く経路=動線です。そのひとつに「生活動線」があります。生活動線は、顔を洗う、トイレに行く、食事をとるなど基本的な生活のための人が動く通り道です。

生活動線は人それぞれ。家族みんなにインタビューして作る必要があります。

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夫や子どもが、それぞれが朝起きてから夜寝るまで、家の中で何をするのか、どの場所で何を使うのか。学校や会社から帰宅したら上着やカバンをどこに置くのか。置いたら次はどこで何をするのか。などなど、家事と同じように、家の中の動きも人それぞれルーティン化しています。細かいことですが、観察して家族の生活動線記録表に記録するといいでしょう。家族をよりよく知る機会にもなります。

特に、家族が「外から持ち帰るモノ(新たに持ち込むモノ)」に注目。どういう経路で、どこに置いているのかチェックします。

ケーススタディ① 夫の通勤バッグとランチボックスの定位置の決め方

Sさん宅では、夫の通勤バッグの定位置を、玄関脇のポールハンガーと決めていました。しかし、夫は以前から通勤バッグを廊下のキャビネットの上に置くのがクセになっていて、なかなかポールハンガーに掛けてくれません。

そこでSさんは夫に「定位置に置かず、キャビネットに置く理由」をたずねました。ちなみに、こういう時は詰問調ではなく、温和にたずねるのがコツです。夫の答えは「重いカバンをポールに掛けるのが面倒くさい」とのことでした。たしかに、通勤バッグにはパソコンやモバイルバッテリーなどが入って、けっこうな重さです。

定位置を見直すと、ポールハンガーのフックは床から1メートル以上の高さにあり、「帰ってきて重いバッグをそこに掛けるのは面倒」との理由にSさんも納得しました。腰の高さあたりのキャビネットにポンと置くルーティンには、それなりの理由がありました。

そこでSさんは夫のルーティンを尊重し、ポールハンガーをやめて、キャビネットの籠に入れてもらうようにしました。

夫の帰宅後のルーティンで、もうひとつ改善点がありました。

ランチボックスと、そのバッグです。ランチボックスは、帰宅したらすぐキッチンシンクに置いてもらうようにしました。が、バッグのほうは調理台の上にポンと置かれてしまいます。これはそもそもランチバッグの「定位置がない」ことが原因でした。そこで、シンクのそばにフックを設置し、ランチバッグの定位置を作りました。

ケーススタディ② 小学生の子どもの上履き袋の定位置を決める

小学生の子どもは毎週末、上履き袋を持ち帰ると、自分の机の引き出しにしまい込んでいました。それは「そこがベスト」と思っていたわけではなく、「特に置く場所がないから、なんとなく」だったのです。そのせいで、月曜の朝になると毎度「どこにしまったっけ?」と探していたそうです。

そこで、Sさんは子どもと話し合って玄関脇にフックを設置し、帰って来たらそこに上履き袋を掛けるようにしました。考えてみれば、上履き袋を子ども部屋まで持って行く必要はありませんでした。無事に子どもの生活動線に沿った定位置ができました。