海外から日本の株式市場へ資金が流れ込む

日本の株式市場は、40年上昇して24年下がる、64年サイクルを繰り返していますが、2013年からは新たなサイクルが始まり、現在は40年の上昇相場の中にあると考えられます。

その中でも2024年は大きな相場上昇をもたらす2つの要因があると考えています。1つは国内の資金シフトです。資産所得倍増プランによる新NISAのスタートで預金から株式への資金シフトが起こるでしょう。

2つ目はグローバルの資金シフトです。つまり海外から日本の株式市場へ資金が流れ込む可能性があるのです。

戦後の株価を日米で比較してみると、1989年までは日本の株式市場が優位な状況にありました。しかし、1989年12月に東西冷戦が終結すると、日本の株式市場は下落に転じ、日経平均株価はマイナス8割となりました。代わりに上昇したのがニューヨークダウ、つまり米国の株式市場です(図表2)。

※1989年12月を起点とした上昇率。出典=Trading View提供のチャートを基に作成

日本の株式市場が再び世界のトップになる

現在、米国の株式市場が世界最大であるとのイメージがあります。しかし、戦後に株式の取引が再開した1949年5月を起点にして日経平均株価とニューヨークダウの推移を比較すると、トータルの上昇率は2023年11月末時点でニューヨークダウが少し上回っている程度です(図表3)。

※1989年12月を起点とした上昇率。出典=Trading View提供のチャートを基に作成

実は世界の株式市場を過去100年で見ると、時価総額でトップになったことがあるのは、日本と米国だけです。時価総額は上場されている株式の時価の合計額で、企業の価値や規模を示す指標です。

日本の株式市場は1898年に世界の時価総額の50%を占めていました。当時の企業の時価総額ランキングを見ると、上位10社中、8社を日本企業が占めています。1位は日本興業銀行で約1050億ドル(図表4)です。

一方で現在の時価総額トップは米国です。企業の時価総額ランキングを見るとトップ10のほとんどを米国企業が占めています。

しかし、再び日本の株式市場が優位になり、時価総額で世界のトップに返り咲く可能性もあると、私は考えています。

図表作成=複眼経済塾

ジム・ロジャーズ氏も日本株に期待

米著名投資家のジム・ロジャーズ氏も日本株に期待しています。12月5日付の日本経済新聞で「人口減や移民受け入れに後ろ向きなど、日本には大きな問題がある」としつつも、「日銀はまだETF(上場投資信託)を購入する資金があるから、株価が下がる可能性が低い」として、「日本では新たな世代が株式投資を始めており、資金流入の勢いがある。日経平均株価は4万円を突破するかもしれない」とコメントしています。

今後は再び日本の株価の本格的な上昇が予想されるわけですが、そのときに投資判断とされるのは何でしょうか。

中国企業向けのセミナーの後、参加者から「日本に最先端の技術」はあるのかと聞かれました。これまでは最先端の技術を持っている企業が評価されてきたからです。たしかに現在の時価総額ランキングを見ると、1位=アップル、2位=マイクロソフト、4位=アルファベット(グーグル)とテクノロジー関連企業が上位を占めています。

しかし、私は「投資判断の革命が起こる」と考えています。日本の時価総額が1位になった1989年当時は、世界時価総額ランキングの上位10社のうち、6社が銀行でした。テクノロジーは関係なかったのです。投資判断とされる対象は時代とともに変わります。