「あくまでも道具に過ぎない」
こうした点を考慮せず、「AIに置き換えられるものはすべて置き換えてしまえ」となると、気づいた時には将来ベテランになる人材を育てる機会も失います。人材を育成も考慮して、どんな業務をAIに置き換えるかを考えるべきです。
さて忘れてはならないのは、「ChatGPTのような生成AIは、「あくまでも道具に過ぎない」ということです。
道具を使うときは道具の特性や限界を知るべきですし、道具の仕組みを理解せずに使うと事故につながりやすい。ChatGPTの場合、出力の間違いや偏りなどはChatGPTの仕組みと関わっており、その仕組みを理解して使うべきでしょう。
ところでChatGPTのような生成AIの登場がよかったことは、AIは間違えないと思う人が多くはなかったのですが、ChatGPTをが実際に使ってみたことで、生成AIを含むAIは間違った情報を出力するということの理解が進みましたが、もう一歩踏み込んで、ChatGPTのような生成AIはどのような仕組みで動き、何が得意なのかを見極めて、職場に導入する必要があるのです。
AIといっても、つまるところ人間にとって道具にすぎません。その意味では、AIといってもトンカチやのこぎりと同じなのです。万能だと思い込むのは間違いであり、効果的な使い方を考えるのはあくまでも人間なのです。
OpenAI社の背後にいる会社
最後にOpenAI社の騒動について触れておきましょう。
ChatGPTのサービス開始からちょうど1年の時期に重なる2023年11月17日、ChatGPTの開発を手掛けたOpenAIがサム・アルトマンCEOの退任を発表し、国際社会は騒然となりました。
一部報道によれば、宣伝塔として各地に出向いていたアルトマン氏が社内の取締役会などを欠席し続けたことで、反発を呼んだのではないかという指摘もありますが、社内の問題ですから、騒動の原因はまだよくわかっていません。
すぐにMicrosoftがアルトマンの同社への入社を発表したため、この騒動の背後にMicrosoftがいるのではないかという見方もありましたが、むしろこの騒動はMicrosoftにとってはマイナスの影響をもたらしています。