九十九里平野に点在するリフォーム不可能な廃別荘
筆者の自宅近所にも、そのような、長年足を踏み入れていないような古別荘が多数放置されており、もはやリフォームも不可能な廃屋も目立つ。
その中でも、まだ再利用できると思われる放置別荘の所有者を登記簿から調べ、買取の相談を行うために直接その所有者の自宅を訪問したり、あるいは手紙を出したりしてコンタクトを試みていた。
問い合わせた別荘はいずれも売りに出ておらず、ただ放置されているだけのものなのだが、それにしても、なぜ使ってもいない別荘をただ朽ち果てるまで放置し続けているのか、筆者はずっと不思議だった。
屋根が抜け落ちるほど老朽化が進んだ廃屋では「タダでも手放せなくなる」というところまでは想像力が働かなかったとしても、少なくとも価値が上昇するはずがないことくらいは、誰でもわかりそうなものではないか。
購入した本人が、新築当初の高額な購入代金を忘れられないというのであればまだわかる。しかし、1970~80年代頃の別荘の登記を見る限り、すでに相続が行われていても、結局何の変化もなくそのまま荒れるに任されている別荘などいくらでもある。
確かに都市部の地価水準から考えれば信じられない安値であろうが、使う予定もなければ、自分で買ったわけでもなく、ただ固定資産税だけを負担し続けている(建物がある限り非課税であるケースはほとんどない)だけの家であれば、選択肢は売却の一択ではないかと思う。
田舎なので別荘の固定資産税はせいぜい年間数千円程度であり、生活を圧迫するほどの高額な固定資産税を課せられることはない。それにしても、そこに不動産を所有し続ける限り固定資産税は課税され続けるし、使いもしない土地建物の税金を払うことほど不毛な話もないだろう。
所有者の関心は薄かった
筆者の近所(九十九里平野・千葉県横芝光町周辺)に限って言えば、リフォームして利用可能な家屋であれば、仲介を行う業者がまったく見つからないという事態はまず考えられない。
安ければ安いなりに仲介を行う業者はいるし、購入者も見つかるはずである。売却の決め手はただ一つ、その価格に売主が納得できるかどうか、という点だけだ。