世界に出ると「東大卒」では威張れない

日本のジャーナリストで博士号を持っている人、というのはあまり聞いたことがありません。ということは、世界の感覚でものを見る人にとっては、「なんと学歴の低い人が集まっている業界だ」ということです。

言い方を変えると、大学を出ているから私には学歴があると思ってはいけないということです。特に言論で商売をする人は、「世界標準は日本とは大きく違うのだ」ということを認識すべきでしょう。

私はいちおう東京大学の出身ですから、国内的には学歴が高いと思われているかもしれません。しかし、世界に行けば、「University of Tokyo」など聞いたこともないという人がけっこういます。

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国内最高の大学とされている東京大学ですが、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が2023年9月27日に発表した世界大学ランキング2024によれば東京大学は29位です(それでも前年から10位のランクアップです)。

大学そのものについては、海外の大学のことなど詳しくは知らないというのはお互い様でしょう。ただし、マスターやドクター、修士や博士号を持っているかいないかではだいぶ違ってきます。

日本の「学士」は海外の「中卒」レべル

学歴というものが、海外では肩書きに露骨に表れます。普通の「学士」つまり学卒4年制大学の卒業者は「BA」と書きます。「Bachelor of Arts」です。

大学院で勉強して「修士」を持っている人は「MA」、「Master of Arts」です。

博士号は「PhD」と表記されます。ラテン語の「Philosophiae Doctor」の略称で、英語でいうと「Doctor of Philosophy」です。

この肩書が、パブリックな場所、たとえばシンポジウムやあるいはパーティといった懇親会の出席者一覧表に書かれます。出席者それぞれの学歴がひと目でわかる仕組みになっているのです。

そういう場では、「BA」の肩書の出席者はまずいません。ごく稀にいますが、その場合は、何かの事情があって「BA」に留まったのだろうと思われます。

「BA」は、失礼を承知で言うと、日本でいう「中卒」の感覚です。この感覚でいうと、日本の場合、ジャーナリストのほぼ全員が中卒・高卒ということになります。

日本で名刺に学歴を書く人はおそらくそれほど多くないと思います。私の名刺の裏側には、英語表記の面にちゃんと「PhD」と書いてあります。日本国内用に「博士」などと書くと嫌らしいことになりますが、海外ではそれが普通で、常識なのです。

海外において、特に知識階層では学卒は相手にされません。海外で学歴といえば、修士卒、博士号卒、あるいはそれ以上で、学卒は最も下位に置かれますから、4年制大学を卒業したくらいで、「私は知識人である」と振る舞うのはお話になりません。