※本稿は、髙橋洋一『数字で話せ! 「世界標準」のニュースの読み方』(MdN)の一部を再編集したものです。
マスコミの世界は文系出身者だらけ
テレビや新聞など、いわゆるマスコミの業界は、大学の文系学部出身者が多く、科学を苦手とする人が目立って多い業界です。理系出身者が入ってくると、文系出身者たちの無知さ加減が露呈してしまうのを恐れてか、科学記者といった狭い分野に押し込められてしまうと聞きます。
文系の、特に左派政党を支持する人たちは、そのイデオロギーのために思い込みの強い人が多いものです。「資本家と労働者の利害は常に対立する」というマルクス経済学のイデオロギーから抜け出せず、「株価が上がると資本家が儲かり労働者が損をする」と信じ込んでいたりするわけですが、こんな見方をしていれば、現実の経済については絶対に理解などできません。
しかし、実はこうした人たちがマスコミを牛耳っているのが実際で、ニュースや時事解説はこうした人たちによって発信されています。
経済を理解できない人が情報を発信している
理系に代表される、物事をロジカルに考える人たちにとってはイデオロギーなど邪魔なものでしかありません。イデオロギーありきの場合、先に答えがきてしまい、ロジックがすべて抜け落ちてしまうからです。
まずはイデオロギーで考えてしまう文系のマスコミ人には、ロジカルな世界である科学や経済が理解できません。そうした人たちがよかれと思って選んだコメンテーターがテレビや新聞などで話をしているわけですから、マスコミが発信する情報を信用しろと言われても難しいでしょう。
たとえば、「経済成長などしなくていい。環境問題や心の問題を重視した政策を」という意見が、そうしたコメンテーターから判で押したように聞かれます。「ではあなたは、失業率が上がった方が世の中のためになると考えているわけですね」と反論すると、たいていの場合、ポカンとして何の意見も返ってきません。経済のそもそもがわかっていないからです。