ストレスを感じて撮られた写真は見返せない

みなさんは中学校の卒業アルバムの自分の個人写真を直視できますか? もしくは成人式のときに写真館で撮った写真を直視できますか? たぶんほとんどの人が見たくないと思います。ストレスを感じて撮られた写真だからです。おなじ時代の写真でも友達と一緒に撮った写真っていうのは見られるものです。

卒アルや成人式の写真は、被写体のための写真ではなく親のための写真なんです。親のための写真だからアレでいいといえばいいんです。親は何年たっても卒アルと成人式の写真を懐かしんで見ることができます。

誰のために写真を撮るのか考えましょう。何度もいうけど写真は考える仕事です。誰のために撮るかで、必然的に撮影時にストレスを与える矛先が変わります。自分のために撮る人は、自分がストレスを感じない撮影をして被写体にストレスを与えます。被写体のためなら被写体にストレスを与えないようにして、自分がストレスを引き受けます。

全方向にストレスを与えず、全方向のために写真を撮りたいと考える人もいます。そういう人は日本のトップ100に入る写真家になりましょう。気持ちはわかるけど、撮影時にストレスはほぼ発生します。自分だったら写真撮られるのは嫌でしょ? その気持ちを忘れずに大切にしましょう。だから自撮りって気が楽なの。

写真を撮りたいと思う相手ほど敬意を払おう

もしも被写体のためだと思うなら、極限まで被写体にストレスを与えないように。声かけに自信があるなら別ですけど「撮るよ」「こっち向いて」「笑って」はやめたほうがいいです。そしてヘンテコなポーズも取らせないほうがいいです。自分も撮影の素人で相手も被写体の素人ってことを意識しましょう。

撮影するときに相手に敬意を払うということがいちばん大事。遠慮がなくなった相手ほど敬意も失われます。自分の子どもや家族、ペットや恋人や親友など関係性が近くなればなるほど遠慮が失われます。それから部下や後輩など遠慮がなくなる相手ほど敬意も失われます。

そしてあなたが写真を撮りたいと思う被写体ほど遠慮がなくなりやすい相手です。写真を撮りたいと思う相手ほど敬意を払いましょう。写真だけの話じゃなくて、日常生活から敬意を払いましょう。敬意を失った最上級が何かといえばストーカーと毒親といじめっ子と身勝手な犯罪者です。