浦和レッズの「サポーター暴徒化」問題
ラグビーのみならずスポーツ観戦はやはり楽しい。2021年開催の東京五輪を境に、スポーツ大会の裏側に気を取られて以前ほどには楽しめなくなったが、いざ試合を目の当たりにすれば、やはり夢中になる。
8月に行われたバスケットボールのW杯やパリ五輪予選ワールドカップバレーもそうで、結果が伴う日本代表の躍動感あふれる戦いに世間は大いに賑わった。国内に目を移せば、阪神タイガースの18年ぶりのリーグ優勝およびオリックス・バファローズの3年連続のリーグ優勝が、関西圏を中心に話題となったのも記憶に新しい。Jリーグもヴィッセル神戸が現在首位で、私の地元神戸では初優勝への期待が沸々と高まっている。
日本代表チームや贔屓チームが勝てば、ファンのみならず世間の耳目はおのずと集まる。私たちは、やはり勝つ試合が観たいと望む。
各競技の躍進が大々的に報じられたこの間だが、それに水を差すかのように暗いニュースが飛び込んできた。サッカーJ1の浦和レッドダイヤモンズが、次年度の天皇杯参加資格を剝奪されたのである。去る8月2日に行われた名古屋グランパスとの試合後に、一部のレッズサポーターが暴力および危険行為に及んだ事態を受けての処分である。問題を起こしたサポーターにも無期限入場禁止などの処分が下された。
後押しするはずのサポーターが足を引っ張る本末転倒
ファンの声援は選手のハイパフォーマンスを後押しする。時に叱咤を含みつつも総じて前向きな応援は、スポーツには欠かせない。ファンと選手が共に存立するのがプロスポーツであり、熱心な応援はチームや大会そのものを盛り上げ、存続させるためには必要不可欠である。
とはいえ、暴力的行為に至るような「熱狂的な応援」はいただけない。暴徒化したファンの存在は大会の運営に支障を来し、ひいてはスポーツそのものの存続すら危うくする。過激化するサポーターが観客席を埋める試合に、好き好んで足を運ぶ人はいない。応援が贔屓チームの大会参加機会を奪う事態を引き起こしたのだから、本末転倒も甚だしい。
暴徒化したファンが相手サポーターとの乱闘を演じたこの一件は、明らかに度を越している。チームの存続のみならずサッカーそのものの価値をも貶める愚行である。
レッズサポーターは過去にも数々のトラブルを起こしてきたし、他チームのサポーターに比べて熱狂的だという認識もすでに広がっている。世界的にみれば、そもそもサッカーは応援が過熱する傾向にある。