飲食店を苦しめる「突然の予約変更」

先日は忙しいランチの時間帯に大人数の予約が入っていたので、何人もお客さんを断ったらしい。ところがその予約したお客さんは連絡なしで現れず、予約の半分の人数しか来なかった。後日、「急に他の予定が入った」と謝罪があったようだが。

また、たとえ連絡があったとしても、大人数の予約が当日までなかなか確定しないのも非常に困る。「二人プラスになっていいですか?」「すみません。一人減りました」「やはりもう二人減ります」と直前まで五月雨式に連絡が来ると、他の予約が調整できなくなる。店の席数は限られているからだ。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

これが常連さんの場合、どこまで注意していいのかシェフも迷う。先日は「予約2日前からは、人数に変更があった場合はその分の食事代だけはいただきます」というメッセージを下書きし、送ろうかどうかスマホを握りしめながらずっと迷っていた。結局、シェフはそのメッセージを送らなかった。

経営者として常連さんが離れるのを恐れるのは当然だ。そんな飲食店の弱みにつけ込まれているようで、私はこんな時も悲しくなる。

また、別の日には常連さんから「明日の午後9時頃から十数人入れそうですか?」と問い合わせがシェフにあった。それも確定ではなく「もしかしたら」という曖昧な依頼らしい。それでも本当に十数人が来れば、ホール一人ではさばききれない可能性がある。

シェフは私にLINEで「ダメもとで明日、午後9時から2~3時間、ホールに入れませんか? 確定ではないみたいなので何とも言えないのですが」と連絡してきた。特に予定はなかったので、私も「大丈夫ですよ」と返して、翌日、本業の仕事を終えてから、店に向かった。

閉店ギリギリに現れた予約団体客

ところが約束の午後9時を過ぎてもお客さんは来ない。連絡もない。シェフは「なんだかなあ……」と落ち込んでいる。もう一人のアルバイトは午前中から働いているのに、このお客さんたちを待ってなかなか帰れない。バイト代も当然ながら二人分発生している。

結局、ラストオーダーの午後10時になっても現れないので、シェフは私を片付け要員として残して、朝から入っていたバイトの男の子を帰した。ところが、その直後に12人が現れたのだ。会社の宴会の二次会らしい。一人で接客スタートである。

予約をした女性は「ごめんなさい。なかなか連絡できなくて」とシェフに軽い調子で言い訳し、シェフも常連さんだからと、愛想よく答えている。自分の大切な仕事相手との約束に遅れる時は、この人だって連絡を入れるはずだ。なぜ飲食店だとそれができないのか。やらないのか。

(まぁ、でも完全にすっぽかすよりはマシだよな。来てくれて良かったよな)

と私も心を立て直した。