困る客でも常連さんだと扱いが難しい

印象に残っていることをつらつらと書き連ねてみたが、どうもサービス業を下に見るお客さんは確実にいるようだ。「お金を払っているのだから、自分が上なのだ」と勘違いしているのかもしれないが、本来、お店とお客さんは対等なはずだ。

岩永直子『今日もレストランの灯りに』(イースト・プレス)
岩永直子『今日もレストランの灯りに』(イースト・プレス)

先日、美容院に行って、担当の美容師さんに「困るお客さんってどういう人ですか?」と聞くと、「やっぱり一番は連絡なしに遅れてくるお客さんですね」と教えてくれた。

「遅れても謝らないお客さんもいます。一定時間遅れると予約時間以内に終えられないので、こちらから断りの連絡を入れることもあります。その間の店の売り上げは無くなるのに、逆に不機嫌になるお客さんもいるんですよね」と苦笑する。さらに、プロの美容師である彼女に対して、「彼氏いるの? デートしない?」としつこくナンパするお客さんもいるのだという。

「面倒くさいので、そういうお客さんの情報はお店のスタッフで共有します。でも常連さんだとどこまで邪険にしていいのか悩みます」と困った顔をしている。

お店はお客さんとスタッフで作り上げている

飲食店も美容院もその他のサービス業も、きっとみんなプロとして技術を磨き、準備をし、最高のサービスを提供しようと努力している。そのやる気やもてなしの心を引き出すのは、なんと言ってもお客さんの振る舞いだ。

どんなお客さんに対しても一定の質のサービスを提供するのがプロだろう。でも、サービス業のスタッフも人間だ。自分たちが大事に守ろうとしている店に対して敬意を払ってくれないお客さんに、気持ちよく接することは難しい。

スタッフだけでは質の高いサービスは提供できない。お客さんと一緒に最高の時間を創りたい。サービス業で働く一人として、そんな思いで店に立っている。

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