また、「子ども部屋の掃除」という名目で、スマホや個人的な手紙などを勝手に見る親がいますが、これもNGです。治外法権エリアを作るということは、子どもに対する「心配/信頼」の、信頼の割合を増やすことでもあります。

「子ども部屋廃止」のすすめ

「子育て科学アクシス」で学ばれている親御さんの中には、子ども部屋を廃止されたという方もいらっしゃいます。私たちの「家族で共同生活をすることに重きを置く」という考え方からすると、むしろ子ども部屋そのものがない方が好ましいだろうと判断したからです。

その親御さんは、子ども部屋を廃止して、その場所に、父親・母親・子どもそれぞれの机と本棚を置くことにしました。その上で、それぞれの机と本棚は「治外法権エリア」なので、どれだけ散らかっていても文句は言わない。

しかし、それ以外の床やごみ箱、小さなテーブルは共有スペースなのでしっかりと片づけるというルールを作りました。さらに、母親や父親の机や本棚に子どもの物が散らかっていた場合は、それが生活を妨害するなら容赦なく捨てるということにもしました。

成田奈緒子、上岡勇二『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)

これは逆に言えば、子どもの机の上の物は、ほかの家族は一切触らないということでもあります。この方法なら、何でもかんでも片づけなければならないわけではないので、子どもにストレスがたまりません。「共同生活のための最低限の片づけ」が、子どもに無理なく身についていったそうです。

ちなみに、その親御さんのお子さんは、自分の机の上に、平気でスマホなど何でも置きっぱなしにしているそう。治外法権エリアを、親が絶対に見ない、触らないとわかっているからです。

あけっぴろげなようでいて、快適な生活と各自のプライバシーはお互いに尊重できる。それが私たちの提唱する「正しい家庭生活」なのです。

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