第7波でもJCHOの患者受け入れ割合は72.4%だった

批判を受けて厚生労働省は10月に、「適切に患者を受け入れていなかった場合には、病床確保料の返還や申請中の補助金の停止を含めた対応を行う」などと明記した通知を出し、同じ月に新内閣を発足させた岸田文雄首相は、「幽霊病床の見える化」を宣言した。

しかし、事態は大きく変わらず、患者を積極的に受け入れたとは思えないJCHOに補助金は投入され続けた。感染力の高いオミクロン株に置き換わって感染者が急激に増えた2022年夏の第7波の真最中の8月3日に医療ガバナンス研究所で調べてみたところ、JCHOの57病院の即応病床数1085床中患者を受け入れていたのはその72.4%に当たる786床に過ぎなかった。同じ時期に即応病床の125%患者を受け入れていた病院もあるというのに、JCHOが72%というのはあまりにも寂しい。

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「受け入れられなかった」のなら補助金は返還すべきだ

仮に、医師や看護師などの医療従事者の中に多くの感染者や濃厚接触者が出て、患者を受け入れられなかったなどの理由があったのであれば、使わなかった補助金は即刻返還すべきだ。じゃぶじゃぶと補助金だけが注ぎ込まれ、感染者が増えたときに患者を受け入れていなくても返納されない仕組みを作った厚生労働省も批判されるべきだろう。何しろJCHOの47病院へ2020年度に国や自治体からつぎ込まれたコロナ関連補助金は約324億円、2021年度はさらに増えて約569億円に上った。新型コロナに国民が苦しんだ2年間でJCHOの内部留保は預貯金と有価証券を合わせて1881億円に膨れ上がっている。

内部留保があまりにも多額になると、国民の税金から捻出された補助金が使われていないのがばれてしまうと上層部が恐れたのか、JCHOの病院に勤めるA医師は、2022年の夏、上司から「必要な備品は何でも申請するように」と声をかけられたという。A医師は、以前から欲しかったが高額なので無理だと思っていた約500万円の手術器具の購入を申請した。このように、新型コロナ補助金が目的外に使われた恐れもある。