東山紀之社長を絶対に守るという防衛ライン

9月7日に行われた1回目からずっと、ジャニーズ事務所の会見では死守されているラインがある。それはジャニー氏の性加害を認めても、事務所のガバナンスが機能していなかったことを認めても、ジュリー氏が社長を辞任しても、社名を変えても、将来的な廃業を宣言しても、その他、ありとあらゆる妥協をしても、東山社長によるセクハラ疑惑だけは絶対に認めないということである。

自身のセクハラ疑惑については今回の会見でも否定した(撮影=阿部岳人)

もちろん、今回の会見でも東山社長自身が「僕はセクハラはしていません」と明確に否定し、いくつかの告発本で書かれているように東山社長が過去にセクハラをした、または性加害を幇助したというのは事実かどうかわからないわけだが、そのことを質問すらさせないために、井ノ原氏は会見をコントロールしようとしたのではないか。

「子どもにルールを守っている大人の姿を見せたい」という井ノ原氏の呼びかけに拍手を始めた男性記者とおぼしき人物は、質疑応答が始まったときから、ジャニーズ事務所にとって鋭く突っ込む質問には「質問が長い」などと言い、望月記者や尾形氏が発言するたびに「ルールを守れよ」「手を挙げろ」と声を大きくしてヤジを飛ばしていた。

大手新聞で質問できたのはスクープをした日経のみ

「報道記者が井ノ原氏の制止に拍手をするなんて」という意見は、ネットでも見られるが、大手メディアの記者やジャーナリストが拍手していたわけではないと思う。

事務所発表によると、出席者は合計294人。ムービー73人(29社)、スチールカメラマン54人、ペン記者167人。おそらく有力メディアはほとんど参加していたと思われるが、新聞の全国紙で質問できたのは、日本経済新聞のみ。テレビの東京キー局6社からはTBSとフジテレビのみだった。スポーツ新聞では東京中日スポーツの記者が質問したが、ジャニーズ事務所と関係の深い日刊スポーツやスポーツニッポンの記者は、指名されなかった。