パチンコ、消費者金融

各種規制、規格変更によって生じるサイクルのようなものもあります。

たとえばパチスロなどは典型的でしょう。パチスロ機は検定を通過しないと遊技場に設置できないのですが、射幸性の強い機種が出てくると、ギャンブル依存症の社会問題などが顕在化することに対応が求められ、規制を強めて射幸性を下げるといった流れがあります。

それによって人気が低下し、パチンコ業界全体に不況風が吹き始めます。不振の時代が続くと、そうこうするうちに何らか正当性のある理由が出てきて、単純に規制が緩まるというわけではないですが、結果的に新しいゲーム性が提案されることで顧客支持が高まり、業界全体の業績が上向くということを繰り返しています。

パチスロブームの浮沈

たとえば2005、2006年あたりは、パチスロ4号機がブームになってパチスロ専門店が街中に増えましたが、ギャンブル依存症の人が増えたとか、遊技場の駐車場の車内に子供を乗せたまま遊んでしまう親が増えたとか、さまざまな社会問題が起こりました。

その結果、短時間の出玉制限やボーナスのストック機能を禁止にするなど、規制を強化したため、多くのパチスロ専門店が撤退しました。4号機は2007年に完全撤去され、その代わりに、規制強化を反映した5号機が出てきたのです。

しかし、5号機によってパチスロ業界は苦境に追い込まれたのも事実で、業界そのものが大きく縮小していくなか、5号機の登場から10年を経て、2018年2月から6号機が登場しました。ここから徐々にゲーム性の解釈の多様化が進み、現在、遊技場に設置されている6.5号機は、メダルレスで時間あたりの出玉数が拡大したスマートパチスロも登場し、人気を博しています。結果、パチスロ関連企業の株価も大きく上昇しました。

写真=iStock.com/tadamichi
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「むじんくん」で業界が一変

消費者金融業も、法律や規制を背景に、同様のサイクルがあります。上限金利の引き下げ、事業参入への要件が厳格化するなど、法律や規制の引き締めというのが基本的なものですが、事業環境が激変することで淘汰とうたが一気に進み、「強い会社が伸びる」といった事例がありました。

例えば、コスト改善の観点から、業界初の「自動契約機」(アコムの「むじんくん」)が登場して、社会現象レベルのブームになったことがあります。その手軽さから利用者層が一気に広がり、新規の申し込みが急増。業界全体の構造が一気に変わり、高成長セクターになっていったという事例があります。