子育て施策で全世代がハッピーになる
「子育て施策が高齢者にとってメリットがない」というのも単なる思い込みです。私が無料化施策を実施したとき、その先にあるものをしっかり見据えていました。なぜなら、「所得制限なしの無料化政策」は、同時にきわめて有効な経済政策だからです。
明石市は、子育て層をはじめ誰もが安心して住みやすい街になったことで人口が10年連続で増え、出生率も上がり、その結果、税収増になりました。その間、街の商店街は売り上げがどんどん増え、移住者の増加によって至るところで建設ラッシュが起こっています。
子ども施策は経済政策でもあり、街に住むすべての人にとってハッピーなものになることをしっかり証明してみせました。このことは、地方自治体という小さな単位においてそうだというだけでなく、国のレベルでも同じ効果をもたらします。
2023年4月の「こども家庭庁」の発足など、政府がようやく子育て支援施策に本腰を入れ始め、それに対してさまざまな議論が起こっている今だからこそ、このことは強調しておきたい点です。
子ども1人にかかる養育費はだいたい3000万~5000万円といわれています。その子どもが大人になってからの生涯賃金はおよそ2~3億円です。子育て支援施策によって子どもが増えることは、それだけで大きな経済効果が見込めるということです。
「所得制限なし」が経済効果を生むカラクリ
「所得制限なし」の無料化施策がきわめて有効な経済政策でもある理由を、改めてもう少し詳しく見ていきます。
今や明石市を代表する「所得制限なし」の子育て5つの無料化は以下になります。
【「所得制限なし」の5つの無料化】
①(高校3年生まで)子ども医療費の無料化……薬代も無料。市外の病院も無料。病院代無料。
②(第2子以降の)保育料の完全無料化……兄弟の年齢も関係なし! 保育所・幼稚園 市外の施設もOK。親の収入も関係なし!
③おむつ定期便……市の研修を受けた見守り支援員(配達員)が、毎月おむつや子育て用品を家庭に直接届ける。
④中学校の給食費が無償……中核市以上で全国初。
⑤公共施設の入場料無料……天文科学館、文化博物館、明石海浜プール、親子交流スペース「ハレハレ」などの入場料が無料。