ばらつきはあるが遺伝的な影響は大きい

もともとは勤勉性に欠ける人でも、どうしてもやらねばならないことに直面したら、多少は意思で自分をコントロールしてその仕事にまじめに取り組むでしょう。しかしもうやる必要がなくなったら元に戻ってしまうのに対して、もともと勤勉な人ならばそれでもまじめにやり続けることが性に合っていると思うわけです。

自分のことだけを見ていれば、パーソナリティなんて環境しだいでいかようにも変わると感じても不思議はありません。しかしそのセットポイントが人によって遺伝的に異なっていて、個人間にあるその違いは、自分自身の内的変化を感じているだけでは気づかないものです。

安藤寿康『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)

この世の中でいろんな人たちがあらわしているパーソナリティの差のうち、その遺伝によるセットポイントのばらつきがグラフで示された「遺伝」の部分、そのセットポイントから状況による違いによって個人の中で前後することで生ずるばらつきが、グラフで示される「非共有環境」の部分に相当するわけです。

パーソナリティは「私は、心配性ではない」「緊張したり、びくびくしたりすることが多い」のようなたくさんの文章に自分がどれだけあてはまるかを自分で判断して数値で答え、一つのパーソナリティ特性として関連のある文章につけた数値の合計点をだしたものですから、そのころのその人の「ふだん」の状況や、特にインパクトのあったできごとに引っ張られたり、自分の思い込みも誤差として入って、非共有環境として算出されます。

その部分もまた大きいのです。

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