伝統的な日本企業トップは生え抜きが多いが…

日本の中小企業も同じように変革を迫られ、同じ釜の飯を食べた新卒入社の中から社長を選ぶ、かつての日本的経営から徐々に変化を遂げていきました。とはいえ、伝統的な日本企業では、外部からプロ経営者やCxOを招くという事例はまだ少なく、日本を代表するトヨタを初めとしてその多くは生え抜きの人材がトップを担っています。

企業変革が迫られる中で、PE(プライベートエクイティ)ファンドという存在も認識されるようになりました。

PEファンドとは、機関投資家や個人投資家から集めた資金により、事業会社、未公開会社、あるいは業績不振の上場企業や一部門などに投資し、企業価値を高めていく投資ファンドのことです。その上で、株式を売却することで資金を回収し、投資家への利益配分を目的として活動しています。

このPEファンドが投資した企業の企業価値向上を実現するために、経営人材を外部から招聘するケースが広く行われるようになってきているのです。

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これから経営人材のニーズが増える理由

ここからは具体的に、プロ経営者やCxOのような経営人材が必要とされる場面を見ていきます。経営人材が必要とされるシーンをまとめると、次のようになります。

①外資系企業の日本進出
②大企業の外部招聘
③PEファンドによる登用
④オーナー系中小企業の事業承継

特に今後は、①のニーズが大きく増加することは考えにくく、②も数年に一度の頻度でしか発生しません。それに対して、③と④のニーズは間違いなく増えていくと考えています。

各国が大規模な金融・財政政策を打ち出した結果による、「カネ余り」が生じたこと、欧米と比較して日本企業の株価が割安なこと、日本の金利が低水準なこと、円安の継続などを背景に、PEファンドはM&Aを進めやすくなっています。

また、④の中堅企業の事業承継のニーズも同様です。

事業承継に困っている企業のオーナーは、資金調達に苦戦するだけでなく、会社を任せられる人材を育てられないという問題も存在しています。

オーナーの考えとして、地元の経済界での地位や、社員の雇用を守ろうとし、倒産して会社が消滅してしまうことはどうしても避けたいはずです。このような背景からも、会社を存続、発展させられる経営人材が求められているのです。