たった数年で解約すると元本割れの可能性がある

1.為替リスク

外貨建て一時払い終身保険では、保険料や保険金が外貨で計算・支払われます。したがって、為替相場の変動により、保険料や受け取る保険金の日本円換算額が変動する可能性があります。為替リスクを理解し、予測不可能な為替変動に対するリスクを考慮する必要があります。

2.解約控除

保険契約を解約した際に適用される手数料や費用を指します。一般的に、生命保険契約は長期的な契約であり、保険会社は予想される将来の保険金支払いに備えるためにある、保険会社が保険契約の解約による経済的損失を回避するための仕組みです。保険契約が継続していくにつれ、解約控除の金額は減少する傾向がありますが、契約して数年後に解約してしまうと元本を割ってしまう可能性があるので、利率が良いからと運用目的で安易に契約することはお勧めできません。

3.死亡保険金の受取人指定

一時払い保険はあくまでも保険ですので、死亡保険金の受取人を指定します。安易に決めてしまうと相続争いの火種になりかねません。

なぜなら、死亡保険金は受取人の固有の財産と見なされ、遺産分割協議(財産を誰が受け取るかという話し合い)の対象資産からはずれるからです。相続のルールはここでは詳しく説明しませんが、お子様が複数人いる方や、資産のほとんどが不動産の場合は、受取人を慎重に選ばなくては、残された家族がもめることにつながります。保険は死亡保険金目的で加入すべきで、解約返戻率などは付加価値であり、死亡のリスクを考え、死亡保険金額や受取人を慎重に選択すべきです。

以上の3点を理解して、「銀行金利よりも利率が高く、アメリカの金利が高い今がチャンスです」というセールストークに惑わされず、適正な金額で契約を検討してみてください。

大切な資産は自分でしっかりと守る

以上、金融機関との取引における注意点を提示させていただきました。

五十嵐修平『55歳からでも失敗しない投資のルール』(クロスメディア・パブリッシング)

注意点として書かせていただきましたが、金融機関の営業担当者も本当にお客様のことを想い、行動している方もいらっしゃいます。

しかし、多くのお客様の資産を分析していると「何故この商品を購入してもらったのだろう?」という疑問符がつく商品も多く見られます。金融機関と付き合う時はお客様側(投資家)もある程度、前提の知識を持って対応した方が、後悔することも少なくなるでしょう。

シニア世代は収入が限られている方も多いかと思います。セカンドライフを充実させるためにも大切な資産をご自身でしっかりと守られることをお勧めします。

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