年金は何歳から受け取るのが得か

年金の受給開始は原則65歳ですが、希望すれば60歳~75歳の間で受け取りを開始できます。60歳~64歳までの「繰り上げ受給」では、1か月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減り、60歳まで年金の受給開始を早めると受給率は76%(24%減額)となります。

一方、66歳~75歳までの「繰り下げ受給」では、1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ受給率が増え、75歳まで遅らせると受給率は184%(84%増額)となります。年金は一度受け取りを開始すると、その受給率が一生続きます。

年金の繰り下げ待機中にまとまったお金が必要になった場合は、年金を最大5年分さかのぼって一括で受給できます。5年以上繰り下げ待機した人の場合は、最大5年分の年金を一括受給できるうえ、5年前に繰り下げの申し出があったとみなされて、以後の年金受給額が増加します。

なお、繰り上げ受給は国民年金・厚生年金セットで同時に行うしくみですが、繰り下げ受給は国民年金・厚生年金の片方だけを繰り下げることができます。

写真=iStock.com/shapecharge
※写真はイメージです

繰り上げ、繰り下げで注意すべきポイントは

年金額は、多いに越したことはありません。その点では、繰り下げ受給でなるべく年金額を増やし、万が一の際には一括受け取りをすることをおすすめします。しかし、何らかの事情で働けない人や、病気などであまり長生きしないと考えている人、若いうちにお金を受け取りたいと考える人などは、繰り上げ受給をしたほうがいいと思うでしょう。

年金の繰り上げ受給にも繰り下げ受給にも、デメリットはあります。どちらを選ぶと合計で得られる年金額が多くなるかは、死んだときにしかわかりませんので、最後は自分自身で判断して決めましょう。

なお、厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、繰り上げ受給を選んだ割合は11.2%、繰り下げ受給を選んだ割合は1.8%。個人事業主やフリーランスなどの「国民年金(老齢基礎年金)のみ」に絞ると、繰り上げ受給27.0%、繰り下げ受給1.8%となっています。