「知ったこっちゃない」

ポリネシア人は、私たちよりまぬけだったわけではない。野蛮でもなかったし、ましてや状況に気づいていなかったわけでもなかった。

もしあなたが、いつ何どき環境災害に見舞われても不思議ではない社会が、みすみす問題をやりすごし、そもそもの問題の元となることをし続けるのはどうかしていると思われるなら……あ、ちょっとあなた、少しまわりを見まわしていただきたい。そして、エアコンの設定温度を少しだけゆるめ、リサイクルに励もうではないか。

ジャレド・ダイアモンドは『文明崩壊──滅亡と存在の命運を分けるもの』でこう問いかけた。

トム・フィリップス著、禰冝田亜希訳『メガトン級「大失敗」の世界史』(河出文庫)

「最後のヤシの木を切り倒したイースター島民は、その木を切りながら何と言ったのだろう?」

これはなかなか手ごわい質問で、答えを導き出すのは難しい。どうせポリネシア版の「あとは野となれ山となれ」だったのだろう。だがおそらく、もっと手ごわい問いはこうかもしれない。最後から2番目、3番目、4番目の木を切り倒したイースター島民はいったい何を思っていたのだろう?

人類の歴史にならえば、かなりのいい線で、こんなことを思っていただろうと察しがつく。「知ったこっちゃない」だ。

Tom Phillips, HUMANS: A Brief History of How We F*cked It All Up
Copyright © 2018 by Tom Phillips

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