「子どもの発熱で欠勤」でペナルティは労働基準法違反

遅刻や欠勤、早退においてペナルティがあるという企業は、残念ながら少なからず存在するようです。

子どもの発熱は突発的に起こります。また、本人の体調不良なども前もって予測できず、当日欠勤や出勤直前の連絡になってしまうのはしょうがないことでしょう。

やむを得ない理由でも金銭的なペナルティがあるのは、賠償予定額を定めることを禁止する労働基準法違反の可能性が高くなります。

例えば、次の場合が当てはまります。

・遅刻すると1日分の欠勤控除になる。
・欠勤するときは自ら自分の代わりの人を探し、いなければ罰金を払う。

さらに、これが給与から天引きされていたら、賃金全額の原則にも違反します。

欠勤した分の給与カットは合法

もっとも、欠勤した1日分、遅刻や早退した時間分についての給与がカットされることは合法です(ノーワーク・ノーペイの原則)。

子どもの発熱時に労働者が使うことができる権利に「子の看護休暇(※1)」制度があります。

※1 子の看護休暇は育児・介護休業法(正式名称 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)第16条の第2、第16条の第3、第16条の第4項で定めています。また、子の看護休暇を利用したいと申し出たり、実際に利用したことについて、「当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。

これは「育児・介護休業法」で保障された権利で、「未就学児を持つ労働者は年5日、子の看病等を理由に休むことができる」というものです。

この制度を使って休みを請求されたら会社は拒むことができません。

また、制度利用のための医師の診断書は不要です。

村井真子『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)

証明として提出を求めるにしても、保育園の欠席がわかる連絡帳や病院の領収証、市販薬の購入レシートなどでもよいとしています。

有給休暇とは異なり、会社が繁忙期であってもこの申し出は断れないとされ、専業主婦・専業主夫のパートナーがいても利用できます。

休める日数の上限は、子どもが複数いた場合は年10日、突発的な発熱だけでなく、予防接種や乳幼児健診なども利用範囲に含まれます。

この制度で休んだ場合、該当する時間分の欠勤控除を行うことは合法ですが、人事評価の対象で不当に評価することは不利益扱いとされて禁止されています。

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