接待は残業にあたるのだろうか。社労士の村井真子さんは「仕事に強く関連し、行くか行かないかを自由意思で決められない接待は、仕事として残業代を請求できる。また労働基準法では労働時間を1日8時間、週40時間と定めており、これを超える場合は副業でも残業代が発生する」という――。

※本稿は、村井真子『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)の一部を再編集したものです。

振込み先口座は「労働者が指定」するもの(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/takasuu
振込み先口座は「労働者が指定」するもの(※写真はイメージです)

「特定の銀行で口座を作るよう指示」は労働基準法違反

入社時に特定の銀行で口座を作るよう指示され、その口座で給与を受け取るというルールがある会社が散見されます。

多くの場合、会社の支払う振込手数料や管理上の都合でこのような取扱いをしているようですが、厳密には労働基準法違反です。

労働基準法では賃金の通貨払いの原則があり、基本的には現金で支払うものとしています。しかし、例外として、労働者の同意があれば銀行振込で支払ってもよいとしているのです。

振込み先口座は「労働者が指定」するもの

労働基準法第24条第1項では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」としています。

しかし、これに続く但し書きで「厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い」という文章があり、これが銀行口座への振込支払いを認める根拠になっています。

給与を銀行振込にする会社は多いですが、振込先口座は「労働者が指定する」ものでなければなりません。

もちろん、会社が特定の銀行口座の開設・利用を「お願い」することはできますが、あくまでもお願いなので断ることもできます。

自宅近くに支店がないなど利便性が低いケースもあり、理由を伝えて断っても大丈夫です。