「出勤停止を命じる就業規則」がある場合も

インフルエンザは、高熱が出たり身内で発症者が出たりするなどの自覚症状がある場合と、本人に自覚症状がない場合があります。

急を要する仕事があり、労働者本人が働ける状態であるとして就労を希望しても、自覚症状があるときは労働者と会社とが協力して一定の感染予防措置を取るべきです。

その労働者が出勤することで社内に感染症が蔓延するリスクは、企業としての経済活動において、また他の労働者の安全配慮義務の観点からも重大な問題になる可能性があります。

問題は本人に自覚がない場合です。自覚がなければ、会社も労働者が罹患している事実を認識する機会がなく、就労を止められません。そこで、感染症に罹患している恐れのある社員に出勤停止を命じる就業規則を持つ会社もあります。

この場合、結果としてインフルエンザに罹患していた場合は、労務の提供ができないために賃金の支払いはありませんが、休業日数によって健康保険の傷病手当金の対象になります。罹患していなかった場合は、会社命令で休むことになり、一日につき平均賃金の6割が休業補償として保障されます。

また、特別有給休暇として休暇を与えるケースもあるようです。

「性自認と異なる性別の制服」の着用は拒否できるか

「性自認」とは、身体の生物学的な性別にかかわらず、どの性別に自分が属している、あるいは属していないという自分の認識のことです。

性自認と異なる服装を着るのは非常につらいでしょう。でも、勤務時の制服着用という服務規定があると、性自認と異なる服装を強制されることはままあります。

「性自認と異なる性別の制服」の着用は拒否できるのか(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/1shot Production
「性自認と異なる性別の制服」の着用は拒否できるのか(※写真はイメージです)

まずは、会社に率直に相談してみるのが一番でしょう。制服を着ること自体に抵抗がないなら、性自認に合うほうを着用したいと交渉してみるべきです。

一方の性別にのみ制服があるのであれば、その制服と釣り合いの取れた私服での就業を認めてほしいと交渉する手もあります。