アメリカのジョークに「2020年」というのがある。それまでには中国で英語を話す人の数はアメリカを上回る、というものだ。実際、私もよく出演する中国中央電視台(CCTV)も今では常時英語放送をしているし、英語が自由にできる人材は400人くらいになった、という話だ。昔は年に数回だった外国の要人をフィーチャーした特番が、今では実質的に毎日だ、と制作担当者が語っていた。
私は、外国で講演するときには英語で話をする。その際、聴衆がどれくらい理解できるか、どのくらいのスピードで話せばいいのかをチェックするために、話の枕に2つ、3つジョークを飛ばして様子を見る。すると香港、台湾、韓国ではすぐにどっと反応がくる。中国はまだ同時通訳が必要で、少し遅れて反応がくるか、時々、反応がこないときもある。その点、ここ数年で一番変わったのは韓国。もう通訳を介することはほとんどなくなった。英語オンリーでOKなのだ。
他のアジア諸国を見渡しても、インドはもちろん、マレーシアとシンガポールはイギリスの植民地だったから英語レベルはもともと高く、アメリカの植民地だったフィリピンも水準は高い。かつてインドネシアは英語がダメだったが、ユドヨノ政権下ですっかり様変わりした。この10年で一番伸びたのはインドネシアかもしれない。今では英語が堪能なマネジャーが国内に多すぎて、他の国に管理職の“輸出”をしているほどだ。また軍事政権が続いているミャンマーも、イギリス統治時代の影響か、英語がうまい年配の人がいて驚かされた。将校クラスの軍人もほとんどが英語を話す。今やアジアの英語後進国といえば、ベトナムにカンボジア、それに日本ぐらいのものである。