ワクチン拒否の理由は「アナフィラキシーショック」
川勝知事は2021年9月7日の定例会見で、コロナワクチンを打たない理由を次のように述べた。
「アナフィラキシーショックってのはもうすさまじいものです。あるいは血栓症よりも、なかなかきついということでございます。特にアナフィラキシーの場合はですね、これは私ももう一度それが出ると確実に死ぬと、それがわかっていて、いろいろな先生に聞いても、これは打っていけないってことなわけですね」
この発言は非常にわかりにくいが、整理すれば、川勝知事は複数の医師から「コロナワクチンを服用するとアナフィラキシーショックを起こして確実に死ぬ」と言われているというのだ。
アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応の1つで、手足のしびれ、冷や汗などの症状から始まり、意識障害、呼吸困難が短時間で起こり、時には生命にかかわる場合もある。そばなどの食物とともに、あらゆる薬剤で発症の可能性がある。
今回の新型コロナワクチンは新たに開発された薬剤であり、被接種者にアナフィラキシーショックが起きるのかどうかは、実際に接種してみなければわからない。
それなのに、「アナフィラキシーショックが起きて確実に死ぬ」(川勝知事)と断言する医師が本当にいるのだろうか。
「確実に死ぬ」は言い過ぎ
川勝知事の話からは、過去に何らかの薬剤で非常に強いアレルギー反応が出たことはうかがえる。
厚生労働省の特設サイト「新型コロナワクチンQ&A」には、「Q.過去にアレルギー反応やアナフィラキシーを起こしたことがあり、今回も起こすのではないかと心配なのですが、接種を受けても大丈夫でしょうか」という項目があり、こう解説されている。
A.食物アレルギーや、アレルギー体質などがあるといった理由だけで、接種を受けられないわけではありません。
食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎や花粉症、じんま疹、アレルギー体質などがあるといった理由だけで、接種を受けられないわけではありません。また、接種するワクチンの成分に関係のないものに対するアレルギーを持つ方も接種は可能です。ただし、これまでに、薬や食品など何らかの物質で、アナフィラキシーなどを含む、重いアレルギー反応を起こしたことがある方は、接種直後に調子が悪くなったときに速やかに対応ができるよう、接種後、通常より長く(30分間)、接種会場で待機していただきます。
過去にアレルギー反応やアナフィラキシーを起こしたことがある方は、予診票にご記入いただくとともに、原因の医薬品等やその時の状況をできるだけ詳しく医師にお伝えください。重いアレルギーで医療機関にかかっている場合には、接種の可否について事前に相談することをお勧めします。
川勝知事はコロナワクチンを打つのが心配なのだろう。それは理解できるが、「確実に死ぬ」という理由を挙げるのは、どう考えても行き過ぎだろう。ワクチン接種を奨励する「公人の立場」ではない。