「Amazon中毒&こだわり浪費」で月の支出が60万円

では、毎月の支出を削減できないかというと、それも難しい。夫はいわゆる「こだわり派」ゆえに、各費目に「こだわり浪費」が膨らんでいたのです。バブル景気を謳歌した経験が今も尾を引いているのかもしれません。

まず通信費は、「安心感」から割高の大手キャリアのスマホを使い続けているため、Wi-Fi込みで3万7000円。日用品も便利グッズに目がなく、毎日のようにAmazonから何かしらの荷物が届くありさま。「Amazon中毒」ゆえに月3万円もの日用品支出があります。

極め付きは、趣味の料理。各国の調味料を買い集め、食材も全国の産地から取り寄せるほど。おかげで食費は外食費込みで月14万円にも。個人的な印象ですが、定年前後に男が料理に手を出すと、夫婦仲が悪くなるパターンが多いように思います。大抵の場合、食材は採算度外視、後片付けは妻任せですから。

これでは、定年後働く働かない以前の問題。年金生活を考えると、住宅ローンを完済しても月50万円も赤字が続けば、家計破綻するのは火を見るよりも明らかです。そればかりか、老後破綻の崖っぷちです。

褒めて喜び感謝して、筋金入りの「こだわり費」を削減

そこで真鍋家は、大きな改革を2つ試みました。収入を増やすことと、ご主人のこだわり費を減らすことです。

まずは、妻・加奈子さんの収入を増やしたこと。折よく、勤務先から正社員雇用の声掛けがあり、快諾することで10万円から18万円にUP。妻はまだ50代で先が長いので、労働時間が増えたとはいえ、社会保険に入りながら長く働くほうが賢明です。

次は、夫のこだわり費です。これは筋金入りですから、ただ頼むだけでは頑として動いてくれません。そこで食費は、レシート精算制だったことを武器に、加奈子さんが家計から出せないと判断した部分、つまり趣味の料理代は支払わないとし、かつ食費の予算を8万円にダウンしたのです。予算を超えた分は、娯楽費として夫の小遣い負担に。そのため小遣いは2万円増やしました。

結果、食費だけで14万円から8万円へと、6万円もの大幅ダウン。もちろん、加奈子さんも食費に含めていた外食費を減らすなどして協力しました。

同時に、夫が材料費を減らすことができたときは、大げさなほど褒め、喜び、感謝して夫の節約モチベーションを上げていきました。文句を言えば文句で返されるだけ。そこを「作ってくれてありがとう」と感謝しつつ、家計とはしっかり線引きしているところに、妻の賢さを感じます。

日用品は、Amazonで購入する際は事前の声掛けをお願いして、その都度、必要か不要かをジャッジすることに。

さらに加奈子さん自身も、気分転換と運動不足解消のためにやっていたヨガや鍼灸しんきゅうをやめ、月6万円削減。ヨガは通わずに、YouTubeのヨガ動画をマネすることで代用することにしたそうです。